かものはし日記3月号


3月1日

笑顔も素敵なのだけれど
悩んでいる顔も好き
その人が
何をどう悩んでいるのか
人は一生光と影を背負って生きていくわけだから
悩みは決して消えない
だから、その人の抱えている悩みが
その人の個性そのものになる。
悩みは
誰でもないその人だけの色彩を放つ
それはその人だけの魅力になる
素敵な悩みを持つ
素敵な悩みを持っている人は色っぽいのだ

3月2日

花粉症がひどい
原稿に鼻水垂らして
紙がでこぼこになる。
楽しかった想い出も
忘れられないかなしい過去も
毎年毎年、春になると
鼻水とともに脳味噌からこぼれ落ちていくような気がする(笑)

3月4日

魂の運動神経
どんなに辛いことがあっても
笑って対処できる人
だめな時の自分を笑える人は
魂の運動神経が良い、ということでしょうか
辛いことも10年経てば
たいていは笑い話になるのなら
辛いことが起こっている時点で笑っちゃう方が
手っ取り早くて良いよね

3月11日

久々に電車に乗ってCD屋さんへ
世間は
宇多田ひかるとだんご三兄弟。
ついつい歩きながら唄ってしまう(笑)
(どこでも鳴っているので覚えちゃうんだよね)
で、目的は
カサンドラ・ウイルソンのマイルス・ディヴィスをテーマとして唄った
トラヴェリング・マイルス
(トリビュートでないところがみそ)
今世紀最後で最高のジャズボーカリストの彼女の歌声は
生々しくてとても優しい
本当に優しいよ
ワインとチーズを買ってきて、彼女の歌声を聞きながら
おしゃれに過ごす。(笑)

3月12日

ペンだこがいたいので
バンドエイドを買いにコンビニへ・・
そのままふらふらと電車に乗って六本木へ
気が付くと、ウエイブ(CD屋さん)にいた。
CDを5枚も買ってしまった。
CDはいっぺんにたくさん買うと
一枚一枚をちゃんと聞かずにすましてしまうので
たくさん買っちゃだめなのに・・

5月13日

コッポラのドキュメンタリー映画「コヤニスカッティ」のサントラ
音楽は現代音楽家のフィリップグラス
反復音楽
同じフレーズが螺旋を描くように続いていく
そう、円ではなく螺旋
同じフレーズだけれど同じ所には戻らない
少しづつ天空を目指す
よりダイナミックに
よりドラマチックに

ドラムというのは基本的にはヒーリングに使う道具です
アフリカのヒーラーはリズムを刻むことによって
人を癒します
本当に良いドラムの演奏を聴くと
一週間くらい体調が良いんです
林英哲の和太鼓なんか良いよ
(以前一緒に行った女の子の便秘が治った。)
逆に、ドラムで人を殺すこともできるのです
叩いてはいけないリズムがある。
体調を悪くするリズムがあるわけです。
ロックであろうが
ジャズであろうが
ドラマーはそういうことを自覚して
ドラムを叩いて欲しい
誰とは言わないけれど
聞いていると不愉快になるドラマーっているんだよね

3月14日

あんまり暖かくて気持ちがいいので
かなり遠くまで散歩に出かける
古本屋を見つけるたびに
店の中に入って一通り本を眺めて出てくる、という行為を繰り返す。
店の中に犬がいる古本屋さんがあった。
人なつっこい犬で、ひとしきり撫でて
何も買わずに出てくる。

3月15日

驟雨
久々のヘビーウオーター
雨の音は良い
自然界のリズムはほんとに気持ちを落ち着かせてくれる
空に感謝をする
雨が降ると微妙なリズムを刻むうちの屋根にも感謝
(天井裏への反響が良い、木造だとマンションには出せないいい音がするんだよね)

3月16日

快進撃TVうたえもんをつい観てしまう
「海のトリトン」を天童よしみが唄っていた
海のトリトンは本当に本当に名曲
僕は昔からプログレとかジャズとかクラシックとか
現代音楽とか民族音楽とかたくさんの音楽を聞いてきたけれど
海のトリトンを聞くと
すべてがぶっ飛ぶ
これに勝るものなし!
水木一郎(あにき)のハカイダーのテーマもすばらしい

天童よしみはいなかっぺ大将も唄っていたんだけれど
僕の猫に対する敬意は
いなかっぺ大将のにゃんこ先生が原点であったと
今日気づいた。

3月17日

SFサムライフィクションをビデオで観る
緒川たまきに着物を着せて
ひたすらかわいく撮りたいが為に作ったということが
はっきり伝わる
非常に好感の持てる映画
でも
吹越満もいい役者だし
布袋寅泰もなかなかかっこいい
(恐い顔だが笑顔はかわいい)
ストーリーもほのぼのしていて
なかなかの佳作でした
(日本のデッドマン?)
最近はどこを観ても
サイコホラーものの邪悪な映像ばかりなので
こーゆうのを観るとちょっとホッとする
サイコホラーも悪くはないが
猟奇殺人のバリエーションばかりに凝らずに
殺人犯を救えなくてもせめて心の闇の中に光を照らして上げるくらいの
話が一つくらいあってもいいし
それが今の時代の最大のテーマだと思う
善人の心の中にも悪の心はあるし
悪人の心の中にも善の心はある、という
当たり前だけれどいい台詞が印象に残る。

3月19日

僕も煮詰まっているけれど
部屋も煮詰まっているような気がするので
窓を開けて
しばらく出かける。
帰ってくると
空間に空き容量がすこしできたみたいで
多少気分が楽になる。

今日はTシャツで外に出られるくらいの暖かさ

3月20日

久々に3月中旬らしい寒さに
ホッとする。
いきなり暖かくなられても
まだ春の準備ができていない
(3月に桜は観たくないな)

ハイゼンベルクの不確定性原理
観察するという行為が対象に影響を与えてしまって
対象本来の姿を観察することができないという定理は
観るという行為(探求するといってもいい)の限界を示したのだと思う。
観るという行為は光子を対象にぶつけて跳ね返ってきた光子を目が認識するということだから、光子がぶつかることによって対象を壊してしまう。
観ることが世界を破壊する
科学というものは観ることによって壊してしまった世界の仕組みを
何となくでっち上げただけなのかもしれない。
対象を壊さないように世界を認識しようとするならば
世界を観るのではなく
世界の気配を感じることなのかもしれないと思う・・
世の中は
観る文化から感じる文化へと
何となく変わりつつあるような気がする。
気配を感じる科学者
いい雰囲気でしょ
愛は確かめようとすると
必ず壊れる
愛を確かめないように
愛の気配を察したい
恋愛にも不確定性原理は成り立つものね(笑)

3月22日

強い風の中をとぼとぼと歩いて
(電車だと15分くらいの距離)
画材道具を買いに行く
(疲れたので途中で喫茶店に入ってコーヒーを飲む)
強風の中を歩いていると
風の圧力が水の中にいるように感じさせられて
不思議な気分だ
(鳥は空気を水のように感じているのだろうか)

3月23日

今日は部屋の模様替えをする
今の配置は実は妙に落ち着かないので
模様替えに踏み切る。
(引っ越しして1年も経つのに気付けよ!)
一番の問題はでかいA3のスキャナーを何処に置くか
なのだが
うまく机の下におけることが判って一安心
今までより部屋が広く使えるようになる
模様替えをするとうきうきするね

もうじき
プロ野球も開幕だ!

月のにおい
そんなイメージの絵を描いた(つもり・・)
臭覚という感覚は不思議だよね
視覚に比べるとまだ開拓されていない感覚だと思う

友人に勧められて
映画「ガタカ」をビデオで観る
スタイリッシュな近未来SF
遺伝子操作による新しい階級社会の話だけれど
いやみがなく切ないいい映画でした

3月24日

昨日の模様替えで腰痛
家の近くの急な坂を下りるときに腰に響く(とほほ)

最近めっきり姿を見せなくなった
向かいの工場にいる猫、牛丸・・
あいつ、もう歳だったから、死んじゃったんじゃないかなと思って
凄く心配していたら
今日久しぶりに顔を見せてくれました。
なんだ、おまえ生きていたんじゃねえか、と声をかけたら
あたりめえだよ、という顔をしながらニャンと鳴きました。
よかった、よかった

内緒の話なんだが 
遊び友達のG氏のマンションの一階には
大家さんの娘さんが住んでいて
彼は彼女とすこぶる仲がいい
(ビデオとか本の貸し借りとか・・)
(実は彼女は人妻(美人))

後藤は(じゃなかったG氏は)彼女から
予約しないと手に入らないような限定ワインを頂いたのだ
(そうか、そーゆう仲なんだな)

うちに電話がかかってきて
いいワインが入ったので飲みに来ないって誘ってくれて
さらに余ったワインをおれにくれて
いい奴だろ、G氏って・・
ま、内緒の話だ
うん、ほんとにおいしいワインでした

人間を含めた動物の血液(ヘモグロビン)と
植物の葉緑素(クロロフィル)の分子構造は
鉄(ヘモグロビン)とマグネシウム(クロロフィル)
だけが入れ替わっていて
ほとんど同じなんですね
不思議だね
そして、なにかうれしい
そういう思いで植物たちと接したいと思うのだ
うちのポトスは最近とても元気
(ほとんど映画「レオン」の気分)
いま、何となく思ったのだけれど
ガメラの血が緑色なのは
それはガメラが地球の植物の意志の代表だから?
地球の生命を根底で支えているのは植物だから・・
これからは植物的な発想が求められているのかもしれない
人の思考を支配している言葉の構造を
鉄からマグネシウムに入れ替えてみる。

3月25日

深呼吸をする
落ち込んだときとかイライラしたときは
ゆっくり深く

たとえば学校で体育の時間にでも
子どもたちにちゃんとした呼吸法を
小さいときから教えてあげれば
日々の生活にすごく役に立つと思うのに
(ただでさえ、子供時代って過酷なんだから・・)
心と体のバランスをコントロールする技術を伝えていく
これが教育の基本だと思うけど

個人的な問題や苦しみだと思っていることが
実は自然界のリズムに原因があったりする
僕らは大きな自然界の流れの一部であるわけだから
何もしなくても自然界の感情(不安や恍惚)のリズムの影響を受ける
そう考えるとけっこう楽だよね
おれのせいじゃないってね(笑)

3月26日

後藤の話によると
この町には変わった人が多いらしい
近所の神社で朝、木に抱きついている女性がいたり
大きい犬をつれて散歩しているおじさんは
公園の木に手を当ててなにやら瞑想をしているらしい
いい町でしょう?
(いやマジで・・)
この町は植物と気持ちのやり取りのできる人がたくさんいるのだ
僕も中原街道沿いで
毎日多量の排気ガスを浴びて枯れかかっている木にさわって
元気づけてあげようと思っている。

3月27日

理論物理学者は
宇宙は物質でできているのではなくて
音楽でできていると誰にも聞こえないようにつぶやき
音楽家は
音楽を芸術ととらえると大きな間違いを犯す
数学や幾何学と同様に
音楽は宇宙を解き明かす方程式であると
声高らかに唱いあげる。
宇宙の始まりは
誰かがレコードにそっと針を落とした瞬間にはじまり
世紀末の地球では
A面が終わり
そろそろレコードをひっくり返して
B面を聞こうかな、っていうかんじかな

生長著しいうちのポトスは
今の植木鉢が窮屈だというので
ふた回りほどでかい植木鉢を買ってきて
植え替えてあげた
これでしばらく文句はあるまい?

3月28日

クラシックを聴くと
宇宙は音楽でできていると感じ
ロックを聴くと
おれたちは音楽でできているんだと思い
ジャズを聴くと
ああ、人生も音楽でできているんだね、とつぶやき
民族音楽を聴くと
生命は音楽でできているんだと確信する。

近所の桜並木はまだ50パーセントという感じかな
実は僕としては
咲いている桜も綺麗だとは思うが
満開になった次の日に大雨が降って
桜の花びらが黒いアスファルトにたくさんへばりついている
というのが大好きなのだ。(変かな?)

3月29日

西武の松坂は確かに凄いのかもしれないけれど
若いうちからスライダーなんか投げないで欲しい
若いうちはストレートとカーブだけでいい、と思う。

先週の部屋の模様替えで痛めた腰がまだ痛い。

LAコンフィデンシャルをビデオで観る
久々にかっこいい男の映画
あんまりよかったんで2度も観ちゃった。

3月30日

友人宅へ花見の宴
といっても雨が降っていて桜を見に行けず
家の中での大宴会
おいしいおでんにおいしいお酒
後藤が飲み過ぎて
帰りの電車で途中下車
「ちょっと休んで行くから先に帰って・・」
後藤が酔っぱらって辛そうな顔を見るのは実は初めてなので
(白い顔がよけい白かった・・)
ちょっと心配

3月31日

朝、電話をしたら後藤無事帰還
やれやれ


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