かものはし日記2月号


2月1日

変化というのが
孤独、孤立、誰にも相手にされない状態から
生まれてくるのならば
世紀末
他者との関係性が崩れ
お互いの孤立化がどんどん加速していくというのは
新たな変化への「光」なのではないかと
思うこともあります
ことさら既存の関係性を守るのではなく
一度孤独を受け入れる、というのも
辛いことだけれど
一つの突破口になるかもしれません

恐怖の大王は
隕石の落下とか大地震ではなくて
表面的には何も大きい事件は起こらないのだけれど
世界中の人たちが
個人個人の身に
7月
ほんとに個人的な問題が
同時に
起こるんじゃないのかな
と、思ったり・・する
そして、そこから「変化」が生まれるのかも
恐怖の大王は産みの苦しみ(笑)

テレビでカワウソ家族のドキュメンタリーをやっていて
カワウソファンの私としては
それはそれはかわいかったのだけれど
どうして
動物ドキュメンタリーって
生殖と子育てと餌をとることしか扱わないのだろうか
動物だって
人と同じように「遊ぶ」んだよ
動物の行動をなんでも上の三つにつなげるんじゃねえよ
カワウソは完全生命体なのだ
餌をとることなんか簡単なのだ
だから彼らは
一生の大半を遊んで暮らしているのさ

2月2日

昨日ビデオに撮った
カワウソを何度も観てなごむ
動物の生態を生殖とか餌をとることからとらえるのではなく
「遊び」という見地からとらえ直す
動物行動学者っていないのかな

そういえば先日
有楽町の牛丼屋さんにはいったら
さすがは有楽町
混んでいるけれど、店員さんは元気で質がいい
「並」「特盛」「けんちん汁」・・などの
専門用語(テクニカルターム)が威勢良く飛び交い
まるで緊急医療室ERを観ているよう(笑)

2月3日

節分です
寒いです

いとこと横浜でデート
そのまま彼女の家へ
おばさんにあって
(ひろちゃんの絵は夢があっていいわねー、とほめられて、ちょっとうれしい)
彼女の旦那さんにあって
犬と遊んで帰ってくる

2月4日

もっと寒い

NHK3時放映
ピッツバーグ警察日記は
ちょっといい

部屋を借りたまま
何年も放置していて
おそるおそるその部屋の鍵を開けて
中に入ろうとする
という夢をよく見る
僕の頭の中に
未整理のまま放置していて
恐くて開けられない場所があるのかもね

2月5日

日記が暗いから元気出してね、と
友人からメールをいただくことがたまにありますけど
日記を書いているときは
基本的に元気です
暗い話を書いているときは
もっと元気
暗い話は元気じゃなければ書けないのです
(でも、別にくらくないでしょ)
日記を書かない日は
元気がないとき
ネットにつなぐのがめんどくさいとき
仕事が忙しいとき
何も書くことが思いつかないとき
かな

2月6日

水彩紙を買いに二子玉川へ
電車の中でふと思う
男の抱えている闇と
女の抱えている闇は
違うのかもしれない
(そんなの当たり前よ!、といわれそうだが)

歩道で
転がりながら、2メートルほど移動している
生物を発見
多分、だだをこねている人間の子どもだと思う

大きい猿を散歩させているおじさんを発見
(間近で猿のお尻を見るのは初めて、まっかっか!)
どんな顔をしたおじさんなのかと
早足で前へ回り込んだら
おじさんのジャンパーの中には小猿が・・

犬好きの焼き芋屋さんとか
この町は動物好きが多いところがいい

馬場さんの笑顔は素敵だったし
ザ・デストロイヤーのマスクの中の眼が
とても優しそうだったことが印象的だった
今週の一週間

今日のNHKの未来潮流はなかなか面白かった
原発反対の原子物理学者
遺伝子組み換え食品反対の分子生物学者
そういう人たちがもっといてもいいじゃないか
という話
これから100年
科学は20世紀の尻拭いをするために発展して欲しい
と思う

2月7日

のどが痛いので
ヴィックスドロップのオレンジ味を買いにいく
子どもの頃から大好きなドロップで
ついついなめずにかみ砕いて
あっという間に食べてしまって
口の中がドロップの色素で真っ赤っか

2月8日

間違い電話
声から察するとバーさんだと思うが
一言「すみませんでした」くらい言おう
近頃の年寄りは礼儀をしらん

再び
バーさんから間違い電話
謝りもせず
「いったいどこにかけたらいいんでしょうかー」とかぬかすので
ちょっと切れる。

毎日春のような陽気で
花粉症の僕としてはちょっと心配ですけれど
今年は花粉が少ないらしい

仕事机の後ろにあるドラムセットを
ベットの横に移動する
やはり
仕事のじゃまだな

2月9日

今日は後藤のおかーさんの誕生日
訳あって上京して後藤の家にいて
ちょっと元気がないらしいので
友人の女の子と結託して
花束を贈る。
大変喜んでいたらしい
花束を贈るなんて
男の僕には思いつきもしない。
女の子というのはさすがだねえ

この国は
どういう訳か極端に「混乱」を恐れる。
混乱を冷静に見続け
混乱のなかから
一つの突破口を見つける勇気と忍耐力を
もう少し身につけたい。
状況から逃げ続けて
目先の安定にすがる方が
混乱を受け入れて
それに立ち向かうより
よっぽどストレスが溜まると思うけれど・・

新型新幹線700系は
先端がカモノハシ顔。
4月に大分に行く予定があるので
700系に乗っていきたい!

2月10日

ハービーハンコックなんて
どーせフュージョンだと思って聞いてこなかったのだけれど
たまたま1973年発表のセクスタントというアルバムを聴いて
びっくり
なんてかっこいいフリージャズなんだ!
(要するに80年代のハンコックしか知らないということ、
フューチャーショック以降だね)
混沌混沌また混沌
(でもちゃんとポピュラリティもある)
昨日の話じゃないけれど
混沌を冷静に受け止め
愛と勇気と客観性を駆使して繰り広げられる演奏は凄いの一言
ちゃんと聞き直そうと考えを改める
そうやって
どうせ・・・とか偉そうなことをぬかしながら
触れもせずに通り過ぎていったものがいっぱいあるんだろうね
ちょっと反省
(ほんとに、ちょっと(笑))

2月11日

うーむ、何度観ても「遊星からの物体X」(テレ東)は
どきどきしちゃう
カーペンターの最高傑作
南極越冬隊に置き去りにされた二匹の犬タローとジローの顔面が
まっふたつに割れ
割れた顔面からしゅるしゅると触手が伸びて
犬を置き去りにして日本に帰った高倉健を襲う
動物愛護がテーマだ
うーむ、こわい
ヴァンゲリスの音楽も素敵だ
(うそです)

学校へ行こう、という番組で
コギャルの人生相談という凄まじいコーナーを
つい観てしまう
言っていることは結構無茶で
身も蓋もないのだけれど
彼女たちはなかなか侮れない、と思ってしまった
感受性も豊かだし
頭もいい
自分でもどうしてそう思うのかわからないが
未来は明るいかもしれない

2月12日

フランク・マコート著
アンジェラの灰
凄い
半端じゃない悲惨な子供時代の回想録
どんな状況の中でも
人は生きようとする
人を愛そうとする
愛は感情じゃないんだね
感情とは別の何かが働いているような気がする
それは「意志」なんだろうな
その意志というものが
どこから来るのか判らないけれど
大地の中から?
雲の上のはるか彼方?
胸の奥深くの「魂」と呼ばれるところ?
自分のまわりに偏在している?
意志の出所は
宇宙の水源?

2月13日


世界の根底を流れる
世界の本質
水は世界に応じていろいろな姿に変わります
地球上ではH2O
精神世界ではたぶん「意志」
宇宙では・・
あらゆる世界に水は存在します
それぞれの人の心の中にも
それぞれの水が存在するんだと思います
自分にとっての水はなんだろうか
そして、その水はダイナミックに流れているだろうか
大きなサイクルで循環しているだろうか
自分の中の水をいつも意識していたい
水の流れのすごさを恐れて
河口堰を築いて流れをブロックしないようにしたい
水源を捜す旅にも出たい

テレビで得た豆知識
こなきじじいは最大2トンまで重くなることができるそうです

2月14日

わっはっは
日曜ロードショーで「北京原人 WHO ARE YOU?」を観てしまった
WHO ARE YOU?って、あなた
こんな企画を通したあなたは誰?(笑)
あまりの発想の貧困さと
役者の下手な演技と
強引な脚本
北京原人に近づく為に裸になったり
(女の子まで裸にすることないじゃん)
フランスパンで北京原人釣ったり
チープなマンモスのCG
(これはちょっとかわいい)
突っ込むところがありすぎて
観終わったら疲れてしまった
ぜいぜい

2月15日

鬱病で休職中の友人と電話で話す。
この過酷な社会で過ごすということは
多かれ少なかれみんな鬱病なんだから
あんまり気に病む必要はないよ、といったら
そんなことはない、楽しくやっている奴もいる、とぬかすので
誰だよそいつは?と聞いたら
加藤だよ、と言われた(笑)
そうかいそうかい
おめーは俺のことをいつもそう思っていたのかい
さらに
なんの生き甲斐もないのに
ちゃんと生きて居るんだから俺は凄い、ともぬかす。
確かに
人間生きているだけで凄いのだ
生きているというだけで喜べる感受性
そういう絵が描けるといいよね

2月16日

人間は生きているだけで凄いのだが
生きる意味も目的もなしに
生きていけるのだろうか
意味とか目的というのは「物語」だ
大昔から人は物語を生み出し
人生に意味を持たせて生きぬいてきた
人は物語る生き物
ホモ・モノガタルス(だじゃれにもなっとらん(笑))
世紀末
あらゆる物語が急速に力をなくし
価値を失いつつある
僕の鬱の友人も自分の中の物語を失っているように見える
かといって
物語なしで生き生きして生きているようにはとても見えない
実際に彼は読書家で
たくさんの物語を読んでいる
自分にあった新たな物語を捜そうとしている
さて
新しい物語を自分の力で生み出すか
新しい物語のなかに自分の居場所を見つけるか
それとも
生きているだけで凄い、という感覚をとぎすませて
物語の呪縛から逃れ自由に生きるか
彼の未来はどっちだ(笑)
これは鬱病の彼だけでなく
すべての人に言えると思う
新たな物語を生み出すか
物語なしで生きるか
おれは・・・どっちかな

2月17日

昔は渡辺美智夫に金魚の糞みたいにくっついていた
柿沢さんも
だだをこねて
組織を敵にまわすくらいに成長しました(笑)
(協調性のない奴って大好き)
気が弱そうに見えるけれど
そういう人が意外に芯が強いのかもしれない
(僕は気が強そうに見えるけれど実は気が弱い)
一方
友人の女性小説家が
「女好きそう・・」と言い切った
彼女が言うんだから間違いはない女好きの
エレガントなハゲ、明石さんはどう出るか
さらに、いつもテレビタックルで
田嶋先生にけちょんけちょんにされて
少しは女性学が身にしみたかもしれない舛添さん
(田嶋先生大好き)
ストーカー事件で騒がせた
石井苗子さんは出馬しないのだろうか
ずーっとファンだったのに・・
なにはともあれ
都知事選は面白そう
(もちろん投票に行くよ)

今年の優勝はドラゴンズだな・・

それにしても
東京は気味が悪いくらい暖かいです
この分だと3月半ばあたりに桜が咲くかもしれない

2月18日

今日は花粉症がきつかった
こんなに春だからしょうがないけれど

友人がキングクリムゾンの新譜を貸してくれた
正確にはプロジェクト1とかいって
クリムゾンではないんだけれど
ま、似たようなもの(メンバーが二人ほど減っただけ)
相変わらずかっこいいんだけれど
楽譜のあるフリージャズ?を聞かされているような感じで
いまいち釈然としない
スタイリッシュすぎて
いまひとつ感情のうねりを感じない
もうちょっとジタバタして醜態をさらして欲しい
昔は醜態をさらすかっこよさ、強さ、しなやかさがあったのに
「完全」なんか求めてどうする

2月20日

悪意について
自分の中の悪意を認識するということは
僕にとって一番大事な問題で
つねに切実なのです
だれかをだれかが傷つけてしまったときに
あいつには悪気がなかったんだよ
というおきまりの台詞がありますが
ぼくはこの台詞が好きではありません
人を傷つけるときは
堂々と胸を張って傷つけたい
ちゃんと自分は相手に対して悪意があると認識して
それを相手に伝えたい
自分の不用意な言動が
図らずも相手を傷つけてしまうという
鈍感さに対して
一番注意していたい、と思うのです
(この鈍感さに後で気が付くと
一番落ち込むんだよね)

カレーパーティーにお呼ばれしたので
友人のうちに遊びに行く
メンバーは
詩人
小説家
エロ漫画家
大御所漫画家
同人誌即売会主催者
イラストレーター等々
紙飛行機の飛ばし方から、おかまの精神性の話、やくざや麻薬の話まで
話題は多岐にわたる
大御所漫画家に
「かとちゃん、きみと僕はモンゴル系だねえ」
といわれる。まさしくそのとおりです、はい。
まんがを描くというのは
普段他人と話していたりするときは
取り繕っているので出てこない
だめな自分との戦いだ
というお話が印象的

2月21日

つい
まあるいお尻につられて
工藤夕貴の写真集を買ってしまう
ロードムービー風のおしゃれな写真集
ジム・ジャームッシュの映画「デッドマン」のようなカット
(眠っている犬を抱いて一緒に寝ているカット)
ロリータフェイスな彼女だが
若い頃からちゃんと自分があって
大人になって凛として
素敵な女優になりました。


リハビリもかねて鬱で休職中の友人を誘って
前田愛3じゃなくて
ガメラ3の試写会に行く
うーむ、つまらん
よけいな設定と
よけいなシュミレーション
多すぎる登場人物
ガメラが地球の意志だとか
ギャオスが食物連鎖の頂点だとか
古代人がどうのこうのとかという陳腐な設定がじゃま
それをやるなら
自然と人間の新しい関係性にまで踏み込んで欲しい
でもね
特撮は凄いよ
澁谷で暴れるガメラはほんとに凄い
知っている町なので感情移入しやすいのか
ほんとに渋谷で怪獣に襲われている気分だった
なにはともあれ
鬱でパニック障害気味の友人は
映画があまりに生々しいと
パニックを起こしそうになるので
映画が始まる前からずっと緊張していたらしいのだが
映画自体があまりにつまらなくて
うんざりしている間に
緊張感が解けて
最後まで観られたのだから
リハビリとしてはよかったかも

2月22日

編集者と打ち合わせ
聞くところによると
某編集部ではほとんどの編集者が
プレステの宇宙戦艦ヤマトゲームを買っていて
みんなイスカンダルに旅立っていったらしい(笑)

にーにーにー
で、今日は猫の日らしい(ほんと)
でも、なんか彼らにいいことがあるのかね
(野良猫に行政からごはんが出るとか・・あるわけないか)

2月23日

ひねくれ者とよく言われるが
僕の場合は
普通のひねくれ者が180度ひねくれているのと違い
360度ひねくれているので
ひとまわりして
実は素直なのである
そのへんを勘違いしている人が多いので
ここで付記しておこう

ガメラがすこぶる評判が悪いので
ちょっと心配になってきた(気弱)
怪獣映画にさほどの思い入れはないのだけれど
やっぱり特撮の火が消えてしまうと寂しい

2月25日

洗濯物を干しっぱなしにしておいたら
夜中に雨が降ったらしくて
朝みたら、びしょぬれ
でも、お昼頃には乾いて、もとどおり
(いやまあ、いろいろ突っ込みたい方も多いでしょうが
それはそれ)

今日は風が強い
まさか、春一番・・

2月26日

公開前の映画の悪口を言ってはいけませんと
友人にしかられる。
ごもっとも
(確かに映画を楽しみにしている人には迷惑だろうが
行こうか行くまいか迷っている人には
ひとつの選択材料にはなるのではないかとも思うんだけど、だめ?)

2月27日

魚屋で銀だらのみそ漬けを一切れ買おうとしたら
もう一切れおまけに付けてくれた
確かに貧乏そうな絵描きに見えるだろう
確かに健康そうでいっぱい御飯を食べそうに見えるだろうが
小食なんだよ、おれは・・
スーパー以外のお店で食べ物を買うと
結構こういうことが多いのだ、おれは・・
そんなに貧相に見えるかな
とほほ

なんで僕は絵を描いているのだろうということを
頻繁にではないにしても
自分に問い続けていたりする。
その都度、いろいろな解答があって
誰かの気持ちを楽しくさせたいからとか
好きだからとか
絵を描くことによって自我境界を越えられるからとかなんとか
言葉になる答えから
言葉にならない答えまで
いろいろとね。
その中で
絵を描くことによって
他者に自分の存在を認めさせ
他者から不用意に攻撃されないため、というのがある。
ようするに
絵を描いて他人に認められれば
他人に一目置かれて
他人はおいそれと自分を傷つけない。
自尊心という防衛兵器を強化するために
絵を描く。
ほんとうにへなちょこな動機で絵を描いているんだな、と
自分でも情けなくなるが
正直な話
多分、心の中で一番大きい部分を占めている動機・・
なーんて
締め切り前に考えることではないのだが(笑)
でも
いつか
もうちょっと勇気を出して
防衛兵器ではない絵を描きたい
(でもね、たまーにそういう絵が描けることもあるんだよ。)

なんか2月って
やたらと落ち込む月だよね

2月28日

女性をテーマにした3本立ての夢を見る
1本目は
沼から出てきた水の妖精に抱きつかれる
(体中葉っぱだらけになる。)
2本目は
昔の彼女に水晶の石をもらう
3本目は
知らない女性と延々話をする

臓器移植
肉体の本質は物質的なものだけでなく霊的な一体感だと
密かに思っている僕にとっては
ひとりの人間の臓器がバラバラになって
機械の部品の納品のように
日本各地に散っていく様はあまり気分のいいものではない
でも
生命は他の生命の命をいただいて生きていく
ならば臓器も命として受け継がれていくのならば
それはそれでいいのではないかなとも思う
命のやり取りの中に「感謝」という気持ちがあれば
臓器移植も自然の生態系の中に
組み込んでもいいのではないか、と思う
どうかな
今日は
宗教的なのものと科学的なものが
気まずそうに
そしてより具体的に
歩み寄ろうとする
象徴的な日ですね。


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