かものはし日記

 2011年9月号


9月1日

過剰適応

ドードー鳥は
天敵のいないところで進化したため
翼を失い
足腰までも萎えてしまいました
それゆえ
その場所に突然別の種(人間、犬、ねずみ)がやってきたとき
あっという間に絶滅してしまいました
ある環境に適応しすぎると
変化に対応できなくなる
これを「過剰適応」というのだそうです
日本はいつしか
首相が毎年変わってもさほど影響がでないような強固すぎるシステムを
作り上げてしまいました
国民はそのシステムに過剰適応し
身動きが取れなくなっている
これを
「ドードー状態」というそうです
(うそ)

9月2日

野田さんの
各方面に気を配った組閣
無難なバランス

自分の絵を見ているようで
むかっときますね(笑)
今はバランスを崩すことが大事なのかも

昔のSF映画は
たいてい何がしかのシステムが暴走します
(コンピュータの反乱とか)
何かが暴走することで
物語が進みます
でも現実は原発が暴走したのにもかかわらず
何も進まない
こんな「SF映画」は初めて観ました(苦)
画期的です

9月3日

展覧会がいっぱい
今月のあたまは
なぜか友人の展覧会が目白押しです

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その1

NOSEあつしさんの個展
下北沢「おばあちゃんち」
彼はプロではないのですが
センスも技術も抜群
そろそろプロになったほうがいいな
ちなみに
この絵は即興で描いてくれた僕の似顔絵

その2

徳永誠さんの個展 ハンサム
吉祥寺「アートセンターオンゴーイング」
10年前にニューヨークに住んでいた彼は
9.11を経験していて
それが裏テーマになっているようです

その3

ギャラリートウキョウジョウ主催
ハモニカ横丁「横丁ギャラリー」にて
グループ展

いつものメンバーで呑み

9月4日

ちょっと虚しい

通販で買った2.5Tのハードディスクが届いたので
4台もある古い250Gの外付けハードディスクから
新しいハードディスクにデータを転送
(半日かかった)
パソコン周りが少しすっきりしましたが
こんなにたくさんの音楽データを後生大事に抱え込んで
僕は何がしたいのでしょう・・

9月5日

支持率

「支持する、支持しない」みたいな
単純な世論調査なんてしなくていいような気がします
絵を描いている横で編集さんに
「いい感じ、よくない」を耳元で囁かれたら
絵が描けないでしょ(笑)
とある漫画家が
にちゃんねるの反応を見ながら
連載を続けたせいで
話がめちゃめちゃになってしまったという話を聞いたことがあります

これはマスコミの問題だと思いますが
もうちょっと
評価の仕方を考えたほうがいいかものはし

9月6日

神学的問題

不必要になったハードディスク6台のうち
2台を中古屋さんへ売り
不良セクタがある売り物にならない4台をトンカチでたたいて壊して
(データの流出を避けるため)
燃やさないごみとして出しました
お世話になったハードディスクを
トンカチで叩き壊すという行為って、なんとなく申し訳ないな
と思ってしまいます
これはすべてのものに神様が宿っているというアニミズム的発想が
僕の中にあるからなんでしょう

西洋は
原子力という荒ぶる神を一神教として恐る恐る扱うのに対して
日本は
アニミズムで柔軟適用しちゃう
西洋の原発は
神殿のようなデザインなのに対して
日本の原発は
建屋にさわやかな模様が付いていて
フレンドリーな感じ
今回の原発事故は
西洋の科学技術というのが
一神教という宗教観から来ているのに
その扱い方のノウハウを日本人はまったく知らなかった
という神学的な問題である

原子力というものに対する畏怖の念の欠如

と、宗教学者の中沢新一が「大津波と原発」という本の中で
対談という形で発言しておりました

日本は、多神教です
いいところも悪いところもあるけれど
多神教にふさわしい科学技術ってなんだろうね
そのあたりに
未来があるような気がします

9月7日

死んでも大変

昨日は不覚にも
ワンセグテレビで心霊映像特集を観てしまった
(結構好き)
ワンセグだから
画面が小さすぎて霊がよく見えないので
ちっとも怖くないのだが
カメラをちゃんと意識した霊の「出方」の見事さにはびっくりします
逆に言えば
僕が死んで地縛霊になったとき
こんなに演出的に工夫しなければ
生きている人たちにわかってもらえないのかと思うと
ちょっと不安(笑)
自分を売り込むのは苦手なんだよ

9月8日

本末転倒

世間では
スマートフォンのアプリに彼氏追跡アプリなるものが
登場して物議を醸しているそうな
彼氏の位置情報だけじゃなく
使っているアプリやバッテリーの残量まで分かるらしい
世間の女の子たち(もちろん男たちも)が
どんだけさびしくてどんだけ不安なのか
わからなくはないけれど
結局人はひとりぼっちなのです
ひとりぼっちだと分かって初めて
世界とのつながりが分かるんだと思います
なんか
順番が逆だよね

9月9日

ブッダのアプリ

孤独に歩め……。悪をなさず、求めるところは少なく……。林の中の象のように

ブッダの言葉です
わたくしはと言えば
悪いこともひどいこともしてきたし(してるし)
自転車が三台もあるしハードディスクの容量も4Tくらいあるけれど(苦)
とても好きな言葉です

自分が幸せであるかどうかを悩まない

世界が変わるというのは
こういうことだと思います

仏教って
とても未来的です

9月10日

暑い日ですね
夕方
トマトを肴にひとりビール
健康的でしょ

9月11日

ベッドに寝転がって
窓を開け空を見上げると月が見えます
今夜の月はやけに明るいと思ったら
明日は中秋の名月なのですね

9月12日

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早朝
仕事部屋の窓から
雨上がり
龍のように見える雲
うっすらとオレンジ色の朝焼け
左端に見える禍々しい塔のような建造物は
反射衛星砲です

9月13日

「自我」の未来

先日注文した「光る傘」が届きました(喜)
映画ブレードランナーに出てきた傘です
後は雨を待つだけ

http://www.kippo-kippo.com/shop/why_electric_sheep/
Tシャツも売ってる・・

ブレードランナーは
30年前の作品ですが
今見てもたくさんの発見があります
記憶を持たないアンドロイドは
精神が不安定です
そのために一部のアンドロイドに「偽」の記憶を植え込みます

人の自我は記憶です

記憶こそが自分であり
記憶こそが安住の地です
自分は常に過去に囚われています
ブレードランナーの舞台となるロサンジェルスは未来なのに
「過去」の牢獄のようなノスタルジックな世界
安住の地にいる限り
何をやっても
未来はやってきません

自分をなくすことが
この世界から抜け出す唯一の方法なんだけど

わかっちゃいるけど
なかなか出られないのよ
傘も買っちゃったし(笑)

9月14日

久々にギャラリーMalleへ
11月のラベル展に参加します

11月8日()〜11月13日()

「素敵に食卓 日本酒ラベル展」
去年と同様、宮城県大崎市の酒蔵一ノ蔵さんの協賛
です

参加メンバーは

姉歯公也 池田あきこ 大野隆司 小倉正巳 加藤龍勇
管野研一 北見 隆 国井 節 国武 将 下谷ニ助
 スズキコージ 田村せつこ なかがわみさこ 原マスミ 福田真一 松並良仁
 南 椌椌 森キヲノリ 山福朱実 山本正子

またおいしいお酒が呑めるかな

9月15日

宇宙と未来

「オリオン」という
あまりぱっとしないデザインのスペースシャトルの後継機が
発表されましたね
(わくわくしないデザインだな〜)
スペースシャトルは再利用型宇宙船として低コストで宇宙へ行けるはずが
膨大なメンテナンス費用がかかってしまい
使い捨てロケットを飛ばしたほうが安いということで
引退することになってしまいました
(あれま)
そんな折
大きめの人工衛星が
地上に落下して来るそうで
人に当たる確率が3200分の1という
結構高い確率
(僕に当たる確率は21兆分の1)
大気圏突入まで
どこに落ちるか分からないという
アバウトさ
近い将来
軌道エレベータが出来たり
月が核廃棄物のゴミ捨て場になったりするのでしょうが
テクノロジーが高度化すればするほど
事故がおきたときのリスクは
取り返しの付かないことになるわけだから
それを安全に恒常的に管理する人たちも
ちゃんと育てていかないと
誰も責任を取れない危険なテクノロジーばかりの未来になっちゃう

技術はニュートラルです
良いも悪いもない
原発事故を見ればわかるとおり
足を引っ張っているのは「人間」なんだよね
悲しいけど

9月16日

宇宙と未来2

NASAの研究チームが
二つの太陽を持つ惑星を発見したと発表しました
二つの太陽をもつ惑星といえば
映画スターウォーズに出てきた
ルーク・スカイウォーカーの故郷、砂漠の惑星タトウィーン
それが実在するとは
(名前はケプラー16b)

うっとりです

スカイウォーカーという苗字は
いつもながら素敵だなと思います
宇宙(そら)を翔る者
ちなみに
「光宙」という名前の子供が実際いるそうですが
なかなかこれも良いなと思いきや
「ぴかちゅう」って読むのだそうです

がっかりです

この子の未来はどうなる

9月17日

とろろ芋を食べるとなぜかおなかがゆるくなります
ネットで調べるとアセチルコリンに対するアレルギーの疑いあり
アセチルコリンって蕎麦にも入っているのね
蕎麦が食べられなくなるくらいなら・・

9月18日

年齢差30歳以上

37歳の友人とその彼女24歳その妹17歳
と4人で上野で呑む
(17歳の女の子は、もちろんウーロン茶)

僕からすると
37歳はそれなりにおっさんだけど
(僕と音楽の趣味が合うくらいだから結構老成していると言ってもいい)
24歳はとても若い
17歳は激しく若い
17歳の子なんて1994年生まれだと言っていたけど
ついこの間じゃないか・・

24歳はイラストレーターで
17歳は声優になるために学校で勉強中
若いって良いな〜と思う
可能性がいっぱいだ
だからといって
おじさん(僕のこと)は
若い頃の自分には戻りたくないとも思う

おじさんは「今の自分」が好きなのさ(笑)

9月19日

拝啓 ガガーリン様、
「地球は、青かった」
人類で初めて、宇宙から私を見たあなたの言葉です。
あれから50年、
今でも私は、“青く、そして美しい”のでしょうか・・・。

ラジオを聴いていると
よく流れてくる民放連のCM

http://www.youtube.com/watch?v=74mhQyuyELQ&feature=player_embedded

国際宇宙ステーションからの
地球の映像

まだ
青くて美しいです
ガミラス星には見えない
うっすら地球を覆っているのは電離層だそうです
電離層って見えるんですね

9月20日

友人が教えてくれた
日本映画の秀作「孤高のメス」(2010)
堤真一が演じる天才外科医当麻が
なんのてらいもなく淡々と手術をしていく姿がとても印象的

プライドも野心もない純粋な行為こそが美しい
僕もそういう風に絵が描きたい

そうそう
夏川結衣さんも素敵です
「結婚できない男」以来ずっとファンです

9月21日

ゆれるホメオスタシス

首都圏に強い台風が直撃するのは
18年ぶりらしい
雨もすごいけど風がすごい
うちは鉛筆みたいに細いマンションの最上階(6階)なので
ものすごく揺れます
台風というのは
赤道付近の熱を北へ逃がす役目があるそうです
そうやって地球の環境バランスを整えているのですね
これだけ大きい台風がやってくるということは
それだけ地球も熱くなっているということでしょうか
地球の恒常性(ホメオスタシス)は
たぶん人間が悪いんでしょうけど
バランスを崩しつつあります
地球も必死?

玄関がピンポンと鳴り
こんな日に誰かと思えば大家さん
台風でポンプが壊れたらしく
水道が止まりました
我が家の恒常性が・・

9月22日

水が出ない

昨日の台風のせいで
水をマンションの各部屋にくみ上げるためのポンプが壊れて
今数人のおじさんたちが修理をしていましたが
なんかお手上げみたいで
帰ってしまいました(おい!)
福島第一原発状態です
洗濯もできないし、ご飯も作れない、トイレにも行けない
どんよりしちゃうね
被災地の人たちの気持ちがちょっとだけわかりました
まさか
水彩画を描くのにペットボトルの天然水を使うとは思わなかった(苦笑)
ナチュラルな絵が描けるのかな・・

午後ようやく水がでました

9月23日

光より早いニュートリノが観測される

子供の頃、さんざんウサギ跳びをやらされて
大人になったら、あれは体によくないからやめましょうと言われた時と似たような気分です
相対性理論に基づいたハードSFは皆絶版
もしくはファンタジー扱い
アインシュタインはトンデモ本の仲間入り
など
いろんなところに影響がでそう(笑)
(物理の教科書を作り直すことによる経済効果も期待できます)
かつて
SF作家のJ・G・バラードが
「想像力は光より早い」
と、意味がわからないけどなんかかっこいいことを言っておりました
相対性理論において
「光より早い物質はない」というのは仮定であって
「縛り」です
理論というのは「縛り」という前提がなければ
構築できないわけです
でも
本当の現実というのは
理論という小さい枠組みでは説明できない
「なんでもあり」の世界なのかもしれません

先入観にとらわれないこと

バラードはこういうことを言いたかったのね
(今わかりました)

今回の発表が
どこに着地するかはわかりませんが
煮詰まっている社会全体にとっては
いい刺激になるかも

9月24日

うなぎ教信者、秋の聖地巡礼
三郷市 根本利兵衛

無事、聖地巡礼を終え(おいしかった)
水元公園を通り抜け
江戸川サイクリングロードへ

空が青いです

相対性理論の根幹が揺らいでいる今
文化とか
宗教とか
言葉とか
習慣とか
人間の根幹をなすものが
ほんとに間違っていないのか
そもそもスタートラインがおかしいのかもしれない
空を見上げて
根幹について考え直したい

9月25日

クリア・エーテル!

光より早いものはないけれど
光速度が一定じゃないとか・・
光速度が一定じゃないとどうなるんだろう
エーテル宇宙の復活?
宇宙が光を伝搬するための媒質に満たされているというエーテル理論は
廃れた理論ですが
とてもロマンティックです

古典スペースオペラ「レンズマン」に確かエーテルを利用した超光速航法があるし
クリア・エーテル(清涼な宇宙空間を)という
宇宙パトロール隊員同士が交わす別れの挨拶にも使われています
素敵でしょ

といろいろ考え込んだりして

僕が考えてもしょうがないんだけど(笑)

9月26日

相手に感謝されて
自分の惨めさをごまかしたい

と、とある本に書いてありました
ああ、そのとおり・・(がっくり)
SNSやツイッターやブログという
いわゆるコミュニケーションツールに
なんとなく未来を感じないのは
そういうことかも
今の時代は
自分が惨めであるということを
ごまかすことがお金になるんですね

自分が惨めであることを見つめ
まず途方に暮れてみる
そのあたりに未来のヒントがありそうです

9月27日

誘われて落語
神保町落語カフェ

金原亭馬吉さんと古今亭菊六さん
(同い年、32歳だそうです)
菊六さんは初めてでしたが
その芸のきめ細やかさを堪能しました
プロは
見えないところが丁寧です
誰も気がつかないところに丁寧な情熱を注ぐ人
そういう人が好きです

9月28日

無から生まれ無に帰る

先週上陸してあばれまくった台風15号ですが
その後北海道を抜け
オホーツクで再発達して
熱帯低気圧としてカナダで猛威をふるっているそうです

台風って不思議です

何もない熱帯の海から生まれ
明確な渦巻きの形を取りながら北上し
北の海で再び無に帰って行く

命というものはこういうものだよ
と見せられているような気がして
不謹慎ながら
うっとりします

9月29日

かわいく負ける

日本の弱腰外交はいつも批判されていますが
お互いがプライドばかりを行使して
すっかりこじれてしまった世界では
最初に手の内をさらして
負けを宣言した方が
未来への扉を開く鍵を手にすることができるような気がします
問題は負け様ですが
ダライラマが言うところの
「チャーミングさが一番大事」というのが
ポイントですね

9月30日

横浜ベイスターズが身売りして
モバゲーベイスターズになりそうな9月最後の日

気象予報士の人によると
暑いのは今日までで
明日からきっちり秋
うれしいなあ

イグノーベル賞
日本人が5年連続受賞
ユーモアがあって、なおかつ考えさせてくれる研究をした人がもらえるそうです
さらに
授賞式で客を笑わさなくてはいけない
なかなか高度なM1グランプリですな
名誉な受賞ばかりではなく
皮肉や風刺を込めた理由での賞もあるそうで
水爆の父と呼ばれるエドワードテラーが
我々が知る「平和」の意味を変えることに生涯にわたって努力した
ということで受賞したそうです
来年は、たぶん東京電力が受賞するでしょう
原発ってほんとは人間の手に負えないんじゃないかという懸念を
明確に提示したということで・・