かものはし日記 2009年9月号


9月1日

本日より向島アート展がはじまりました

開催一週間前に事務局の目の前の家が全焼したり
搬入の日は台風だったり
なかなか大変ですが
よろしくお願いします

初日は近所のおじいちゃん、おばあちゃんがいらしてくださいました
地元密着型アート展ですね

次は、4日に店番(事務局)をやります
僕の絵は、カフェ雲水さんにあります
遊びに来てね
(平日はけっこう暇だし(笑)

9月2日

天候不順ですね
体調もいまいちです
扁桃腺が腫れ気味
つばを飲み込むとちょっといたい
調べると扁桃腺の腫れは
足の冷えからくるようです
確かに足が冷たい

9月3日

新しい首相とファーストレディは
ちょっとエキセントリックが過ぎますね(笑)
首相は
かつてエリア51で捕獲された宇宙人の末裔みたいだし
その妻は、スピリチュアルだし
いいのか、あんな連中が国の代表で
と思いましたが
なんかめちゃくちゃになりそうで
楽しみでもあります(笑)

9月4日

アート展、店番です
このあたりは道路が狭いので車が入ってくることが
あまりなくて
とても静かです
お客さんがいないときは
絵を描いています
(けっこーはかどる)

9月5日

さわやかな晴天
向島アート展、オープニングパーティ
とても楽しい一日でした
皆さんに感謝します
みんなとなにかをしたりすることは
とても楽しいし
とても有意義なことでもあります

でも
この楽しさにおぼれず
僕は常に
孤独と寂しさの中にいたい
と思っています
それにおぼれてしまうと
コミュニティに依存してしまい
ちゃんと人とつきあえない

孤独を癒さず
寂しさから逃げず

人としての品性って、このあたりにあるのような気がします

9月6日

スピリチュアリズムと科学

科学は
世界を偶然ととらえます
確率論ですね

スピリチュアリズムは
世界を必然ととらえます
運命とか宿命とか因縁とか
世界になにがしかの意志があり意味がある

どちらが正しいかはわかりません
両方いいとこ取りをすれば
世界をそれなりに説明することはできるかもしれませんが
たぶん両方ともどうでもいいことなのです
このふたつの大いなるシステムから
脱却しないと
新しい文化は生まれない
そんな気がします

Malleに佐藤敦子さんの個展を見に行きました
病気を抱えているそうで
いろいろ大変だそうですが
そういう雰囲気を一切見せない
生命力溢れる絵に感動しました
孤独と寂しさを
ちゃんと受け入れている人の作品は素敵です

9月7日

アート展の店番
ふらっと立ち寄ってくる
地元のおじいちゃんおばあちゃんと話をするのが
とても楽しいですね
お年寄りって
実はとても進歩的です
長い人生の中で
いろいろなものを受け入れてきて
たいていのものはオッケーです
(そうじゃないお年寄りも中にはいますけど)
ほんとは
若者よりずっと柔軟なのです

向島アート展イベント追加

豆本装丁家谷中あずき堂さんの
豆本教室が21日にあります

26日のうどんの会は
ジャズのライブもあるようです

13日のスケッチ会は僕も参加します
是非一緒にスケッチをしましょう

そうそう
僕がデザインした向島アート展のキャラクター「あにゃ」の
金太郎飴も絶賛発売中です

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詳しくは、向島アート展ブログにて

9月8日

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new blues

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sketch of tel aviv

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third world love songs

イスラエルのジャズバンドです
third world love

中近東特有のリズムと哀愁
情に流されない正確無比のプレイ
アビシャイ・コーヘンのトランペット
オマール・アヴィタルのベース
かっこいいです
しばらくは、これでなんとかいけそうです

9月9日

宗教の勧誘

ピンポンと鳴ったので
インターホンに出ると
「すいません、神様を紹介したいのですが・・」
という女性の声
いきなりそんな言い方をしたら
誰も玄関のドアを開けませんよ
もうちょっと最初の「つかみ」を考えましょう
たぶん
「すいません、神様です・・」
と言われたら
開けます(笑)

9月10日

ううっ

9月11日

夕刻
新宿経王寺で来年の3月の個展の打ち合わせと称して
呑み会
(エロ話ばっかり(笑)

来年の個展のテーマは
あらゆる境界線を越え
あらゆる先入観を捨て
あらゆるシステムに依存せず
あらゆるものと交わりつつも
孤独の中で
直感的に行動す・・

言葉にすれば
こんな感じですが
言葉にしてもしょうがないのです
絵にしないと(笑)


ギャラリーmalleの木川さんからお電話
来年の1月のグループ展は
「宇宙(そら)へ」
テーマは、宇宙
ギャラリーMalleでは初のSFテーマかもしれません
宇宙船や宇宙都市
などなど
宇宙への想いを広げます

メンバーは、2008年の「物語の中の猫」展の参加者
中村豪志
中川悠京
北田稔
さかうえだいすけ
加藤龍勇

9月12日

アート展、店番
遠くからいらしてくださったひーさん
ありがとうね
久仁香さんもありがと

9月13日

アート展
スケッチ教室

向島百花園に行きました
植物がうっそうとしすぎて
風景の抜けが悪く
描きにくかったかも

今日は
顔なじみの方々もいらしてくれて
恐縮です
ありがとうございます

9月14日

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sezession

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an anxious object

まいりました
今の僕に、どんぴしゃ!
久々に夜更かしして聞き込んでしまいました
mouse on the keys
カテゴリーとしては、ポストロック、インストロックですが
とてもジャズです
ピアノとドラムという編成
ドラムがピアノのように聞こえます
ドラムがいい
すごい!

http://www.youtube.com/watch?v=nUIiR5VxgvE

mouse on the keys 最後の晩餐

資生堂のCMにも使われているそうです
今が旬です

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ジャズやロックは
ドラムですね
リズムです
すべてはリズムです
絵もリズムです
それ以外はどうでもいいかもしれません
それ以外は
ただ綺麗に見せるための技巧に過ぎない

9月15日

朝から
ニール・ヤングのレアトラック集を聞きながらお絵かき

ドラマの総集編がつまらないのと同様
人生も際だった部分だけ集めてもつまらないのです
実は
物語の流れにほとんど関係ないような
どうでもいい小さなエピソードの方が
面白かったり、重要だったりするのです
ニール・ヤングという偉大な音楽の流れから漏れたレアトラック集
僕はこっちの方が好きかも

9月16日

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blue floyd / begins

サザンロックなんてあんた
子どもの頃は、めちゃめちゃ避けてました
アメリカ南部の
排他的で
血族意識が強くて
(メンバーに親兄弟が多い)
差別主義者で
(リーダーはたいてい白人)
泥臭いロック
(偏見ですけど(笑)
そいつらがなんでpink floydのカバー?
当時
フロイドのリーダー、ロジャー・ウオーターズは
アメリカのガキに俺たちの音楽がわかるはずがない
とほざいてました
(こいつも差別主義者)
といいつつも聞いてみるとなかなかいい
(楽曲がいいんですけどね)

演奏者が差別主義者でも
音楽は勝手に国境を民族を先入観を超えていく
素敵なことです

9月17日

アート展の店番
北海道から19日間かけて
自転車で野宿旅をしている若者が訪ねてきました
(九州から自転車で旅をしている友人と富士山で待ち合わせをしているそうです)
何度となく個展やグループ展をしてきましたが
普通そんな人は
ギャラリーには来ませんよね
この展示会は
なぜか
変な人ばかりやってきます

主催者の樋口雄一さんのせいでしょうね(笑)
(変な人好きだし)

9月18日

久々に後藤と長電話
合作をやめてほぼ10年経ちました
お互い別々の道を歩んでいても
そこから導き出される結論は
結構似ているようです
さすが相棒

9月19日

量子力学と勇気

とある場所でギャグアニメ「絶望先生」観ていたら
物理学者のシュレディンガー博士が提唱した
量子力学の思考実験である
「シュレディンガーの猫」をネタにしていました
(原作者はすごいな)
量子力学には
「観測が状態を決定する」
という概念があります
ようするに
量子力学は
バレンタインの日に
下駄箱を開けなければ
チョコが入っていて有頂天になっている自分と
何も入っていなくて落胆している自分という
二つの状態が混ざって存在している
と考えます
下駄箱を開けてしまえば(観測をすれば)
チョコの有無は決定してしまいますが
開けなければ
確率論としては五分五分なので
ひょっとすると入っているかもしれないという気持のまま
帰宅できるわけです
(もちろん上履きで帰る)
「事実」を知る勇気をなくしてしまえば
結構幸せ
というのが量子力学です(うそ(笑)

シュレディンガー博士のすばらしい方程式のおかげで
原爆はきっちり爆発し
パソコンはちゃんと動きます
(コンピュータの集積回路も量子力学の世界です)
テレビのブラウン管も。
こうながめると
どれもこれも
現実を直視せず
現実から逃げるために生み出された技術のような気がしてきますね

9月20日

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UA / ATTA

先日、デヴィッド・シルビアンの新作を聞きました
前作もそうでしたが
音楽(ポップス)からのあまりの逸脱ぶりにちょっと辟易
(だれか、王様ははだかだ!と言ってやれ)
こうなると
シルビアンの声が好きか嫌いかだけになってしまいます
(せめて、弟のスティーブのドラムを入れてください・・)
かつてポップスしていたけれど
今は脱ポップスを目指し、音楽の新しい地平を模索している人たちが
僕の知る限りでは3人います
(ほんとはもっといるけど、とりあえず)
ビョーク、デヴィッド・シルビアン、UA
ビョークは
ちょっと失速気味
シルビアンはこんな感じ
ちゃんと音「楽」しているのは、UAだけでしょう
数年前から
アルタード・ステーツのギタリスト、内橋和久など
日本のフリージャズ系の人たちと絡み始めていて
ちょっと気になっていました
彼女の音楽がポップスからどんどん離れてきているのに
ファンも一生懸命ついていっているのも素晴らしい
和製ビョークと言われているそうですが
失礼な話です
彼女はとても遠くにいます
そこは素敵な場所です
僕らも遠くに行かないと

9月21日

今日の向島アート展は
谷中あずき堂さんの
豆本教室
墨田区のケーブルテレビの取材などもあり
大盛況でした
さえりちゃん、明美ねーさん
中津川さん、千葉さん、タルカスさん(from ELP)
かちさん、かんからさん
ありがとうございました
僕は
いつもお世話になっているギャラリーMalleの木川さんと
ジュエリーデザイナーの中島さん、人形作家のがもちゃんたちと
向島下町ツアー
カフェ雲水のスイーツなごま豆腐
言問団子に長命寺の桜餅などなど
食べ物中心でしたが(笑)
向島を楽しんでもらえたようでよかったです

9月22日

自転車で走っていると
「逃げすぎ注意」
という看板を見つけてしまいました
(うそ)
たまには逃げるのも大事ですが
逃げすぎると
帰ってこれなくなります
バブルの頃、浅田彰の逃走論なんていうのが
流行りましたが
あの頃日本は逃げすぎました
いまごろ自分探しなんてしても遅いのです

ああ、もうそろそろ帰ろう(笑)
絵を描こう

9月23日

グローバル化が進み
世界の価値観が均一化すれば
憎悪はそれに比例して増していくような気がします
嫉妬は、価値観の均一化から生まれます
価値観が多様化すれば
いろんな生き方が認められるわけですから
他人に嫉妬を抱く必要もなく
憎悪を増長させる必要もないわけです

僕の生き方も認めてね
(誰に言っているんだ(笑)

9月24日

セバスチャン・サルガドの写真が早く見たい

とある場所で
とある写真家の方とちょこっとお話をしました
彼は
ほとんど人通りが絶えない銀座の交差点で
一年かけて誰もいない瞬間を狙って
誰も写っていない交差点の写真を撮った人だそうです
人間は撮ったことがないのですか?
と聞いたら
一度もないと答えました
彼は
写真は、「視点」である。
と何度も力説していました

セバスチャン・サルガドの写真展がもうじき
東京都写真美術館で開催されるようです
有名な写真をいっぱい撮っている人なので
名前は知らなくても写真には見覚えがあると思います
人々のとても悲惨な状況を撮っているのですが
彼の写真はなぜか美しいのです
ちょっと混乱してしまうくらい美しい
サルガドの写真は「視点」ではないような気がします
視点という構図でもなく
視点という批評でもありません
視点ではなく「関係性」
感傷ではないなにがしかの感情が
そこにあります
それを感じにいきたいです


9月25日

りえちゃん、のりちゃん、西田さん、みたぽん
熟女な友人たちが
アート展に遊びに来てくれました
ありがとう
カフェで食事をした後
向島百花園を散策
くだらない話をしながらも
その中にそこはかとなく切れを感じます

ゆるいのはいいけれど
ぬるいのはだめなのよ

彼女たちの中にちらりと見える懐刀が
恐ろしいし
色っぽいね(笑)

9月26日

向島アート展はうどんの日
昨日までギャラリーだった場所は
いきなりうどん屋さんになります
うどんとなると
人はいっぱいきますね
絵とは大違い(笑)

アートなんて無力なんです
それをちゃんと理解して取り組まないといけないのです

無力だからこそ・・

いやしかし
うどん屋さんは楽しかった
僕は横でビールを売りました
大人の文化祭でした
いらしてくださった皆様ありがとうございました
ミキちゃん、まひろさん
まつばらさん、のりこさん
ありがとね〜

9月27日

こころというくもりメガネ

こころという曇っためがねで
現実を眺めているんだと思います
こころは先入観ともいいます
よく見えないので
勝手な妄想で現実を補完します
同じ種類のめがねをしている人がつどい
同じ先入観を共有して
われわれの現実は存在しているのでしょう

そのめがねを外して観る本当の現実というものを
いつか
観ることができるのでしょうか
現実逃避と言う言葉がありますが
本当の現実すら知らないのになぜ逃げるんでしょう
現実から逃げているのではなく
妄想から逃げているだけです
意外と現実は結構いーものかもしれません

ほんとは、「現実」を描きたいのです

「幻想」になっちゃうんですね
SF系イラストレータだからねえ(笑)
(最近、おいらは「想像力」という言葉にも懐疑的だよ)

9月28日

イラストレータのまつばらあつしさんが参加している
グループ展「ぱなし展」に行ってきました
大人数のグループ展は
なかよしこよしな関係に陥りやすく
とっちらかった感じになりやすいのですが
このグループ展は
適度な緊張感に包まれて
とてもよかったです

まさしく
ゆるくてもぬるくはない関係性を
堪能してきました

9月29日

光も重力の影響を受けるのだから
「言葉」も当然重力の影響を受ける・・
という文章が昨日の展覧会の誰かの作品に書いてありました
こーゆう文章好きですね
文学に科学をからめた文章
重力があるからこそ
この世のすべてのものが存在するわけで
重力がなければ
宇宙は均質な空間でしかありません
この宇宙に「神」とか「意志」とかがあるのなら
重力は、まさしくそれでしょう
相手の顔をめがけて放つ言葉は
重力故に
まっすぐ顔にあたらず
古典物理が描き出すエレガントな放物線に従って
相手の胸辺りに当たるわけです
胸にはハートがあるので
言葉はしっかり伝わるというしくみのはずですが
ちゃんと伝わらないのは
なぜだ?
角度の問題?(笑)

9月30日

無事、アート展終わりました

事務局とカフェ雲水、スパイスカフェ、向島珈琲店に飾られていた絵は
一部17日まで、カフェみづきの方に移動し、展示されます
(僕の絵も)
見逃した方は是非
向島は、あまりアクセスの良い場所ではないのに
わざわざいらしてくださった皆様
ありがとうございました

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向島探偵事務所1 思春期迷宮入り事件