かものはし日記 2008年5月号


5月1日

ガソリン代の値上げで
生活は苦しくなるけれど
地球環境にはいいかもね

日本家の人たちは
お父さんの放蕩(霞ヶ関主導型民主主義)による
700兆円以上の借金もあるし
じっと我慢しなくちゃいけません
(テロリストにでもなりたい気分でしょ?、だめですよ(笑)
でも、いまこそ

本当に必要なものは何か

ということを考えるいい機会になるかもしれません

5月2日

中国では
民主化を求める人たちと愛国者の人たちが
聖火をはさんで衝突していましたが
ひょっとすると
これもやらせ?
と、疑ってしまう自分がいます
高度化された情報社会のほうが
実は民衆は先導されやすいのかもしれません
信じるべきものが何もなくなってしまった今
何かを信じて生きていくかではなく
自分はどう生きたいかという
個人の品性が問われる時代が来たようです

5月3日

いわゆる谷根千(谷中、根津、千駄木)で
一箱古本市をやっているというので、ちょろっと行ってきました
一箱古本市とは
個人がダンボール一箱分の本を持ってきて
指定された場所で
小さな古書店を開くという催しです
お店の数は50店舗ほど
みなさんいろいろな趣向を凝らして
素敵なお店に仕上げておりました
友人が参加している根津教会内に特設された一箱古書店会場で
グループ展以来お久しぶりの
シイタケ栽培家兼美術家のS氏と待ち合わせをして
ゲッターロボの話などで盛り上がってしまい
結局ほとんど古本探索は出来ませんでした(笑)

5月4日

静かな一日
もくもくとお絵かき

5月5日

入院している友人のお見舞い
手術の影響で声が出なくなるかもと言っていたので
心配していたけれど
手術はうまくいったようで
元気にべらべらしゃべっておりました
女の子はおしゃべり命なんだから
しゃべれなくなったら大変だ(笑)

いろいろ余計なことを考えつづけていると
病気になってしまいます

へらへら生きましょう

5月6日

いちおう東京生まれだし
子供の頃、神奈川育ちというブランクもありましたが
大人になって20年以上東京に住んでいるのにもかかわらず
実は柴又帝釈天は初体験
映画のセットのような参道を団子を食べながら通って
帝釈堂でお参りしたあと
内殿外壁の装飾彫刻を観賞
(圧倒的です。絵描きは観ておいたほうがいいかも)
邃渓園でお茶を飲みながら
美しい庭を観てまったりしてきました
そのあと
江戸川河川敷に出て、遠めに矢切の渡しを眺めた後
江戸川サイクリングロードを上流へ
江戸川サイクリングロードは葛西臨海公園から千葉県の北端関宿までおよそ60キロ
ほとんど信号もなくノンストップで自転車を走らせることができる貴重な自転車道です
関宿まで行くと帰れなくなってしまうので
やむなく途中で引き返しましたが
上流へ向かって走っていくと
だんだんと田んぼが増えてきたりしていい感じ
(道路公団万歳!(笑)
首都高も自転車に開放しろ!)

再び柴又に戻り
モツ煮込みを食べて、ビールを飲んで
酔いを覚ました後
ものすごい向かい風の中、なきそうになりながら帰宅しました
サイクリングロードも
下流から上流へ強い風が吹いていて
上流へ向かって走っているときは人生のように楽チンでしたが
帰りは人生のように大変でした
事前に河川敷に吹く独特の風をちゃんと読んでおかないと
途中でつらくて泣いちゃうかもしれません(笑)

帰宅後
キョリ測で、今日のルートを検証
50キロほど走ったようです

5月7日

近所のデパートの階段で
子供の絵画展をやっていました
いつの時代も子供の絵というのは
力強い混沌というのでしょうか、独特の面白さがありますね
でも
展示されている絵はどの絵も
混沌とした雰囲気はあるのですが
どこか儚げで
弱弱しく
生命力を感じさせません
(絵を描くのにすっかり飽きてしまった
プロの絵描きのような絵だよ(笑)

絵が、子供たちの精神性のすべてを反映しているとは思いませんけれど
ちょっと心配です

5月8日

客の食べ残しを別の客に出していた
船場吉兆はもちろん許せんが
鮎の塩焼きを頼んでおいて
箸もつけずに、食べ残す客も許せん

注文した食べ物は
ちゃんと食べましょう
大人の基本です

5月9日

仕事の打ち合わせの後
友人を誘って
デザイナーの友人が開いたカフェの試食会へ
さすがデザイナーさんがプロデュースしただけあって
素敵なカフェです
料理も美味しい
焼きたてのパンが特に美味しかった

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life in leipzig (live)/ ketil bjornstad & terje rypdal

すばらしいアルバムです
切れがよく北欧らしい透明感のあるケティルのピアノと
ちょっとプログレっぽい、鯨がオペラを歌っているような?テリエのギターの絡みにしびれました

こーゆう音楽のような絵を
僕は描きたかったのではないかと思わせる
色がないのに色彩を感じさせるモノクロームの絵画ような
音楽が先陣切って突っ走ってくれると
絵描きは楽チンですね(笑)

5月10日

日本で一番おいしい焼き餃子を出す店と評判の
アメ横を上野方面から歩いて最初のガード下道路にある中華料理店「昇龍」で昼食
ギョーザがでか過ぎて
他の料理が食べられません
日本で一番かどうかはわかりませんが
確かにとても美味しかったです
お昼時は並ぶのでちょっと早めに行きましょう
お勧めです
ここのガード下は大好きです
隣は、モツ煮込みがうまい

ちなみに
僕は、餃子の王将の餃子も大好きです

5月11日

アコーディオン奏者の友人のソロライブを聞きに
永福町へ
彼女は
音楽をメロディとしてとらえるのをやめて
響きとしてとらえようとしているように
感じました
他者への自然な気遣いが上手な彼女の性格は
他の音楽家と絡むときに
フォローにまわりがちで
彼女の生命力が素直に出てこない印象がありましたが
実はその逆で
それを極めることで
彼女のらしさがもっと出てくるんだな
と今回のソロ演奏を聞いて思いました

自分を無くせば無くすほど自分が出てくる

演奏会場全体への
彼女のやさしい気遣いは「響き」となって
聴いている者がまるで自分も楽器(音)になったような
感覚を起こさせる
そういう魔法を体得しつつあるようです

5月12日

循環する水のように

世界で一番低いところを流れる水のように生きたいと思うのだけれど
プライドが高すぎて無理

水のように
水蒸気となってこの星の一番高いところまで行きたいのだが
背負っているこだわりが重過ぎて飛べず

水のように
雨粒になって潔く落下したいのだが
恐怖心が邪魔をする

5月12日

中国の大地震

人の想念と自然現象は
なんとなく連動しているような気がします
中国の人たちの世界に対する憎悪と
世界の人たちの中国に対する憎悪が
引き起こした大災害

想念の恐ろしいところは仮想現実のはずなのに
現実に影響を及ぼす力を持っていること

想念を持たず
先入観を取り去って
目の前の人をありのままに受け入れられるようになる日は
近い将来来るのでしょうか
(いつか来る、じゃ困る)

それが出来なきゃ
滅亡です

5月13日

技術が上がれば上がるほど
直観力は落ちていく

絵描きのジレンマです
一生懸命努力しているつもりでも
それが直観力を鈍くさせる方向に行ってしまうことがしょっちゅうです
うまく見せたい
わかってもらいたい
そして愛されたい
という気持ちが、直観力を鈍化させます

直観力を取り戻すこと
絵を描くうえでも
人の気持ちを察するうえでも
一番大切なことですね

5月14日

「かものはし亡命政府」

来年の個展のタイトルはこれですね(笑)

直観力を大切にし
トップを持たず
自発性を重んじ
システムや国土などあらゆる観念に依存しない
そんな国民で構成された
日本にひっそり存在する架空の亡命政府
という設定です
手始めは、8月に松戸でやるグループ展で
政府広報ポスターを書きます(笑)

5月15日

大家さんに
ちょっと出かけて家を開けるから
その間に
各階の共有スペースの蛍光灯をチェックして
消えているのがあったら換えておいてね
と言われました
夕刻
階段を使って、各フロアのチェック
知らぬ間に
僕は、マンションの電気系統の管理人を任されたようです(笑)

5月16日

モーツアルトの音楽は
あまりにすごすぎるのか、いまひとつ好きになれないのですが
「天才を作るのは高度な知性でも想像力でもない、一番大切なのは愛である」
という言葉はとても好きです
愛のある人に
ほんとの知性や想像力が備わっているんでしょうね
みんなが人生の天才になるといいな〜

5月17日

今日は荒川サイクリングロード(全長80キロ)を走りに行きました
北千住から上流へ
少し走ると
荒川と隅田川が分岐する水門があります
なるほど
大雨のときなどここで川の水の量を調節しているんですね
浮間公園のベンチでちょっと昼寝をして
(あまりに気持ちよくて眠くなってきました)
さらに上流へ
どんどん緑が増えてきて
県境を越え埼玉へ
どこまでもいけそうな気分でしたが
夕刻用事があるので
断腸の思いで引き返しました
(そのまま入間川まで行っちゃいそう)

夕刻
恵比寿へ
先日ショップカードと看板のデザインをさせていただいた
フランス料理店「Le coq」の試食会
とても美味しいお店です
びっくりしました

23日開店だそうです
是非行ってみてください
渋谷区恵比寿西2−7−2ウインズビル1F
tel 03-3770-1915

JR恵比寿駅西口を出て左へ
恵比寿像の前を通って
駒沢通りを横切って
まっすぐ行くと五叉路があります
そのちょっと先です

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ショップカード 表

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ショップカード 裏(地図)

5月18日

語り女、北原久仁香さんの朗読ライブを聞きに
新宿経王寺へ
題目は江戸川乱歩原作「人間椅子」
お寺で人間椅子!?
ちょっと驚いてしまいますが
実にミスマッチでいい雰囲気でした
去年の夏の公演も聞かせていただいたので
これで2度目です
前回の朗読に比べると
やや押さえ気味な感じ
前回の朗読は
作品の持つエロティック、もしくはグロテスクな部分が強調されていましたが
今回は作品のもうひとつの側面
「悲しみ」
に重点が置かれているような印象を受けました

言葉は
雑多な世界から自分の心を守るための守護神として機能する一方
言葉の生み出す妄想が
欲望や憎悪や嫉妬を加速させ
精神の自由を奪ってしまう牢獄にもなりうるのです

仏教でいうところの
「世界は幻(マーヤ)である」というのは
世界を言葉の牢獄にしてしまい
本当のものを見えなくしている、ということでしょうか

物語の主人公の苦悩がかもしだす「悲しみ」ではなく
言葉が牢獄になってしまうという
言葉の「悲しみ」

今回の人間椅子の朗読は
それを感じました

5月19日

チョコレートが食べたいな
と思ったら
ピンポンと玄関のベルが鳴り
扉を開けたら大家さんが
チョコレートを持って立っていました

びっくり

先日のマンションの共有スペースの蛍光灯の交換のお礼だそうです
結局、切れている蛍光灯はなくて
交換はしていませんよ
交換用の蛍光灯もグローランプもお返しします、と言ったら
また切れたとき頼むから持っていて
と言われました

それもびっくり(笑)

5月20日

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8月にお酒のラベル展というグループ展に参加します
絵描きさんがオリジナルのお酒のラベルを作って
ほんとのお酒に貼って展示販売するのです

「Lament」
という名前のビールはいかがでしょう
「悲しみ」という名のビールです
いいでしょ、中原中也みたいで(笑)

5月21日

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「敏感」という名のワイン

お酒というものがなぜこの世に存在するのか
不思議です
呑むとちょっと人が好きになる
世界でいちばん安い「愛」です
もちろん安かろう悪かろうですから
副作用も多々あります(笑)

5月22日

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「starless & wild black」という名の黒ビールはいかが?

もちろん
タイトルは、キングクリムゾンの名盤
「starless & bible black」から(笑)

星一つない野生の暗黒

右下の猫は、カラカルです
中型猫(飼っている人もいますね)
耳の毛がちょろっと長いのがチャームポイント

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daniel lanois /here is what is

U2のプロデューサで有名なダニエル・ラノワ自身の2年ぶりくらいの新譜
相変わらずのくぐもった声とスティールギターが
すばらしい
hera is what is というタイトルの
自身が監督したドキュメンタリー映画のサントラです
まだ未公開のようですが
一部youtubeで映像が観られるようです
イーノとラノワがぼそぼそしゃべってます
http://jp.youtube.com/watch?v=0lvSb0YvA6k

5月23日

早朝、荒川サイクリングロードを北へ
最近のお気に入りの場所は
荒川と隅田川の分岐点
水門付きの素敵な公園になっていて
とてもいい場所です
それほどキレイな水が流れているわけではないのですが
やはり流れているだけでも
気持ちがいいのです

しかし平日なのに
気合の入ったロードバイクでサイクリングをしている方をたくさん見かけます
みんな自由業?
イラストレータ?

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夏に文字展というグループ展に参加をします
文字をテーマにした展覧会

人の想いに縛られ
言霊にされた言葉たちを
野生に返す

という感じで描いて見たいのですが
描けるかどうか・・

5月24日

早朝、荒川サイクリングロードを南へ
河口まで行ってきました
サイクリングロードの終点が工事現場だったのは
がっかりでしたが
ルートを変えれば
葛西臨海公園にも行けるようです

午後は
版画家 谷中安規(1946年没)と
世界で一番彼の版画を愛している版画家 大野隆司の二人展へ

谷中安規は伝説の奇才
おどろおどろしい幻想の世界を描きつつも
どこかかわいく
独特の存在感が伝わってきます


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ドラゴンズドリーム

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春の自転車

なんで、全裸で自転車に?(笑) 

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童子騎虎

5月25日

心ある道

わしにとっては心ある道を歩くことだけだ。
どんな道にせよ、心ある道をな。
そういう道をわしは旅する。
その道のりをすべて歩み尽くすことだけが、ただひとつの価値のある証なのだよ。
その道を息もつかずに、目を見開いてわしは旅する。

ヤキインディアンのシャーマン、ドンファンの言葉です。
結局僕らはいつか死んでしまうわけですから
どんな道も僕をどこかに連れて行ってくれるわけではないのです
ただひたすら美しい道を静かに歩く

目的や結果に囚われて
身動きが取れなくなったとき
いつもこれを思い出します。

5月26日

失われた感覚を発掘すること
僕にとって
絵を描くという行為がシャベルになります

5月27日

そろそろ入梅らしいです
体感ではなくて
テレビの天気図を見て季節を知るなんて
馬鹿な話ですが

梅雨といえば紫陽花
紫陽花は
一つ一つの小さい花が独立して存在し
さらに
それが集まって花房となり
全体としてひとつの大きな輝きを見せる
とても示唆的な花です

人間関係とはこういうもんなんだよ

共同体のひとつの理想的なありかたを
人間に見せ付けているのでしょうか(笑)

5月28日

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日本のサッカーが弱いのは
日本人の高度な言語能力によるものかもしれない、とふと思いました
日本語の
きめ細かい分析力と表現力が
感覚を働かせる隙をなくしてしまう

サッカーは配慮と調和のスポーツです
相手の気持ちを察して瞬時にボールを贈る

言葉は守護者として
混沌とした世界に秩序を与えてくれますが
その秩序に依存しすぎると
逆に自由を奪う看守となってしまいます

勉強しなくなった、本を読まなくなった子供たち
クイズ番組から発生したアイドルグループ「羞恥心」は
ひとつの啓示でしょうか
(ほんとか?笑)

もちろん言葉は大切ですが
言葉が生み出した世界だけが
すべてではありません

言語的秩序より感覚的調和を

5月29日

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どうも胃がもたれます
2週間前に有名な大勝軒のつけ麺を食べたあたりから
不調なのです
だいたい普通盛りで麺の量が350グラムというのは多すぎです
初体験だったので、麺少な目という選択肢を見落とした私が悪いのですが
世界的な小麦粉不足のこのご時世
食いすぎですね
炭水化物中毒
石油価格の高騰もいい機会です
もうちょっと生活態度を改めます・・

今日は身体の要求どおり断食したかったのですが
ついアイスクリームを食べてしま・・

5月30日

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5月31日

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mojotoro / dino suluzzi group

たまにフュージョンぽくなって雰囲気ぶち壊しなところもありますが
dino suluzziのバンドネオンは素敵です
楽器というのは
どれも楽器自体がそれなりの寂しさを内包していますが
バンドネオンは
特に孤独と寂しさの内包度合いが激しい楽器
どう弾いても心地よい孤独感をかもし出します

雨の日にバンドネオンは合いますね