かものはし日記2008年3月号


3月1日

刺繍画家(というカテゴリーでいいのかな)のまつやまさとこさんの個展を観に
恵比寿のギャラリーmalleへ
とても素敵な作品にうっとり
落ち着いた色彩とバランス感覚
そして密かにアヴァンギャルド
さすが大人の女性の作品は違いますね

夜は大野さんのグループ展「あきら」展の
オープニング・パーティ
池袋にある「一栄」という手打ち蕎麦屋の店主が
蕎麦を打ってくれるということで楽しみにしていたのですが
会場に着いたころにはもうなくなっていました
残念
「一栄」は土日休み、平日は午後4時には閉まってしまうわがままなお蕎麦屋さん
とてもおいしいそうです
蕎麦通の方は是非どうぞ
(豊島区東池袋3−9−5)

僕も近いうちに行ってみます

3月2日

井上ひさし原作「人間合格」を観に
新宿紀伊国屋ホールへ
太宰は好きじゃないけれど
舞台はとても面白かったです
当時のインテリ学生の流行り言葉が随所に出てきます
たとえば
「アウフヘーベン」
古いものを全面否定するのではなく
その中から使えそうなところは残して発展させていくという意味かな
とても常識的な考え方ですが
発展させるものがひとつの価値観の延長線上にあるゆえ
どこかで袋小路に迷い込む気がします

たまには「全とっかえ」も大事

僕は今
「全とっかえ」したい気分なのです(笑)

3月3日

花粉症

今年は
花粉が少ないのか、遅れているのかわかりませんが
この時期にしては、ずいぶん楽です
花粉症は過敏現象です
過敏な部分が生じていることは
どこかに過敏を引き起こす「鈍り」があると
整体的には考えられています
体と心は一緒です
パソコンはソフトウエアがハードウエアに影響を与えることは
絶対ありませんが
生命は違います。
花粉症を引き起こす精神的要因が
どこにあるのか
自分はどこが鈍っているか
毎年この時期になると考えるのですが・・

やっぱり「愛」かな〜、鈍っているのは。(笑)

自分の中にある「憎悪」や「嫉妬心」
それにともなう「不安」「恐怖心」が
すべての病の根源でしょうね

3月4日

自転車散歩
隅田川を超え荒川を越え
ぐるっと回って浅草経由で帰宅
子供の頃
学校が休みの日は一日中ひとりで自宅の周りの道路を
自転車でぐるぐるぐるぐる回っていました
今も
感覚的にはその頃と変わらないな(笑)

3月5日

最近の展覧会に出品した絵を
全部アップしました
目次からも行けます)

去年の年末のグループ展
「天使が微笑むクリスマス」展

今年のお正月の経王寺での個展
「ジャズと仏教」展

先月のグループ展
「物語の中の猫」展

絵の販売もしております
よろしければ是非ご覧くださいませ

 3月6日

「物語の中の猫」展で展示販売した
豆絵本「おやゆび猫の一日」を
ネット販売いたします

よろしければこちらからどうぞ〜

行ってきました!
春の強風にめげず、自転車で
先日大野さんのグループ展のパーティで食べ損ねた
「一栄」の蕎麦
田舎蕎麦を頂きました
さらに
大野さんの友人ということで
三色蕎麦をサービスしてくださいました
(ありがとう、大野さん(笑)
とてもおいしかったです
蕎麦も人柄が出ますね〜
心をこめて
手を抜かず
しっかりした味わいでした

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春のエロス

3月7日

人形作家がもうまりこさんの個展を観に
恵比寿のギャラリーmalleへ
グループ展「ハート東京」を観に
新宿の都庁へ
もちろん自転車です
(今日は30キロ以上は走ったかな)
最近
電車に乗るとなんだか負けたような気分になってしまいます(笑)
(電車なんかに乗っているおれって、どうよ、っていう感じかな)
地続きならばどこまでも自転車
(それは、うそ)

がもうさんの人形のかわいさは尋常じゃありませんでした
人形がチェコを旅するポストカードセットがすばらしかった
おすすめです
あさって日曜まで。

都庁のギャラリーでは
出品者でもあるイラストレータのまつばらあつしさんに
出会ってしまったので
そそくさと帰りました
彼は、降水確率90パーセント以上の恐怖の雨男(笑)
(雨期男といった方がいいかもしれません
本人に会わなくても、彼の個展を観にいっただけで
帰りは雨に降られます。)
案の定
靖国通りあたりでどんどん雲行が怪しくなり
家にたどり着く頃にはぱらぱらと降ってきました。
昼間はあんなに晴れていたのに・・

3月8日

なぜか突然
子供の頃見ていたアメリカのテレビドラマ
「大草原の小さな家」
が懐かしくなり、ネットでいろいろ調べてみました
DVDのボックスセットもあるのですね
結構悲惨な話が多いので
もう一度見たいとは思わないのですが
でもちょっと観たいような。(笑)

大人になって気が付いたことを二つ
チャールズ(おとうさん)役のマイケル・ランドンは
口と鼻がみのもんたに似ている
チャールズの養子になったアルバート少年は
デヴィッド・シルビアンに似ている

アルバートはいい子だったな
登場人物の中では彼が一番好きでした

3月9日

往生際の悪い人が好きです
桑田にしろ
カズにしろ
今日のQちゃんにしろ
結果よりもプロセスを大切にしているところが
素敵です。
野球が好き
サッカーが好き
走るのが好き

愛すべきは
結果よりプロセスです。

3月10日

ジャズピアニストの山下洋輔さんが
防火服を着て
燃えているピアノを演奏する
というパフォーマンスをテレビで見ました
なんでも
古くなって処分しなくてはいけないピアノに
感謝を込めたいということで企画されたようです
炎奏会?(笑)
相変わらずいかれたことをする
山下さん

さすがです!

3月11日

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sinikka langeland / starflowers

世界のあらゆる声が
音楽になりますように

あなたの恨み言も
ぼくの自己憐憫も

憎しみも
悲しみも
喪失感も
音楽としてならば受け入れられる

3月12日

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yungchen lhamo / tibet tibet

http://jp.youtube.com/watch?v=Ee58iv63M2A&feature=related
ここで、彼女の歌声が聞けます

どの国の音楽もすばらしいのです
音楽だけが
世界で唯一の共通言語
外国語を勉強するより
楽器の練習をした方が
世界にとっては良いことのような気がします。

といいつつ
ドラムの練習をしない俺(っ苦)

3月13日

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azimuth'85

azimuthは、ジョン・テイラー(PF,ORG)、ノーマ・ウィンストン(VO)、
ケニー・ホイーラー(TP,FLH)のユニット

確定申告なんてしなくていい世界が
ここにあります(笑)

そうそう
暖かくなってきて
水を触るのが気持ちのいい季節になってきました
食器を洗うのが楽しいです
いらいらした時は
水に触ると
自分の中の女性性が立ち上がり、心が落ち着くそうです
(昔日記に書いたような気がしますが)
水は生命活動を維持するだけではなく
人の精神にも大きな影響を与えているはずです

ECMの音楽たちは
いわば水の音楽
ネットワークを流れる水です

3月14日

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laibach / volk

NSKという架空の思想国家の音楽部門として
80年代から活動している
ノイズインダストリアル・ロックバンド、ライバッハ
(スロヴァニア出身)
インダストリアルっぽくメタルパーカッションを多用するのですが
コーラスなども美しいとても音楽性の高いバンドです
今回の新譜は
(と言っても2006年ですけど)
ドイツ、フランス、スロヴァニアなど
いろんな国の国家を大胆にアレンジしたカバー集
日本もあります。
君が代、とても美しいです(いい曲だな(笑)
落日の帝国という感じのせつないアメリカ国歌
子供たちのコーラスがかわいいロシア国歌などがお気に入り
いつものファシズムっぽい強迫的な雰囲気は
若干控えめ
ライバッハにしては、かわいく仕上がっております
日本国歌はyoutubeで
http://jp.youtube.com/watch?v=7MD47B2SHR0

3月15日

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tony levin /stickman

言わずと知れた
キング・クリムゾン、ピーター・ガブリエルバンドの怪人ベーシスト、トニー・レヴィンの新作
相変わらず
クリムゾン寄りの馬鹿テク・ジャズロック
いつまでもこの手の音楽に俺がうっとりすると思うなよ(笑)
かっこいいけどさ

http://jp.youtube.com/watch?v=8fuQBmi6Ca4

3月16日

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adrian belew / side four

過剰な情報社会のおかげで
世代間の情報ギャップがなくなり
文化は停滞気味
特にロックは深刻だ
思えば、近頃の若いもんは、っていう台詞を聞かなくなりましたね
大昔の遺跡の石版にも「近頃の若いものは」っていう言葉が
刻まれていたそうですが
われわれは、はじめてそういうことが言えなくなった時代にいるのでしょう
adrian belew power trio
21歳と20歳の姉弟のリズムセクションを従えて
還暦間近のロックギタリスト、エイドリアン・ブリューの変態ギタートリオ
こんなに歳が離れているのに
同じ土俵でロックがやれちゃう現状って
いいんだか
悪いんだか

http://jp.youtube.com/watch?v=ZUZZYvuAz48&feature=related

しかし、いつもながらエイドリアンの飄々とした精神性はすばらしい
人生の師匠です

3月17日

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せっかくチケットを頂いたのに、ロートレックの展覧会を
見逃してしまった
酒に溺れ、娼婦館に入り浸り
遺伝的な病気のせいもあって
世間からは人間扱いされなかったけれど
娼婦たちには愛され
やさしい視点で娼婦たちを描き続けたロートレック
最後は梅毒で死んじゃいました
繊細で傷つきやすくてやさしく弱い人だったんでしょうね

多分
酒にも女にも溺れることはない俺って
絵描きとして、どうなのよ(笑)

3月18日

今日から
僕が住んでいるマンションの防水工事が始まりました
洗濯機がおいてあるベランダなどの室内工事もあり
職人さんたちが家の中をうろうろしています

「こいつは朝から、どこにも出かけず
机の前で何をしているんだろう。」
という視線を感じながら絵を描くのは
なかなかつらいね(笑)

洗濯機を移動されたので
洗濯もできません
この状況はしばらく続くようです

3月19日

あなたの前世はチベットの坊さん
と、以前母親の友人の怪しい霊能力者に言われたことがあります
ただ単に坊主刈りの僕を見て、そう思っただけだろ!
と、言われた本人はまったく信じていませんが
そういう経緯とはまったく関係なく
チベットとダライラマ
そして
中国のことが心配です

暴動と制圧ではなく
対話と思いやりで解決して欲しいものです

3月20日

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未来の自転車

市場経済とは
ずっと右肩上がりと信じられている「未来」に借金して自転車操業する経済です
今時の「未来」のイメージって
そんなものになってしまいました
こんな未来になるなんて
SF作家はだれも予測していなかったでしょう

偉大なSF作家アーサー・C・クラークが亡くなりました
「2001年宇宙の旅」の原作者です
(高校生のとき面接で、尊敬する人は誰?と聞かれ
アーサー・C・クラークと答えたことを思い出しました。)
またひとり
エレガントな「未来」を夢見る人が減りましたね

3月21日

千駄木倶楽部で打ち合わせ

「雅楽」をテーマにした
絵を描くことになりそうです

どんな絵になるんだろう・・
我ながらちょっと楽しみです

3月22日

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holon / nik bartsch's ronin

最近のとてもお気に入りバンドのひとつ
スイス出身のnik bartschがリーダーののジャズバンドです。
それぞれのパートがまるで打楽器のような扱いで
ガムランのようにスムーズな変拍子を刻みます
(変拍子の反復系音楽に弱いんです、めろめろ)
音の切れ味がものすごくいいけれど
全体的に柔らな感じもあって、何か優しげ
こういうイメージの絵が描きたい、といつも思います
youtubeの動画はここ
2006年、ベルリンでのジャズフェスでの演奏
http://jp.youtube.com/watch?v=jwFqjV3u5O8&feature=related

ちなみにバンド名「ronin」は「浪人」です
nikは短期間日本に住んでいたこともあり
自分の音楽を「禅ファンク」と呼んでいるそうです

3月23日

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政治家のような権力者でなくても
人はだれでも、ささやかな権力を持っていて
そのささやかな権力でさえ失わないように気を配る
ささやかな権力は
ささやかな自尊心を満足させ
ささやかな自尊心は
ささやかな何かを傷つけ
ささやかな傷口からは
ささやかな沈黙が流れ出ていく
やがてそのささやかな流れは集まって大きな川になり
黒い大きな海を作るかもしれない
その川の流れに逆らって
たくさんの真っ白なちいさなささやかな魚たちが上流へと泳いでいく
源流というささやかな傷口を目指して

この魚たちの名前は何なのだろう

3月24日

とあるメルマガで
エッセイを書くことになりました
基本的に「作文」は苦手なのです
絵描きだし
(日記はてきとーに書いているから別)
文章を描いていると
あんまり字を知らなかった子供の頃の自分の方が
もっと幸せだったんじゃないか
もっと賢かったんじゃないか
と思ってしまいます
いかれた小説家のウイリアム・バローズも言ってたでしょう
言語は宇宙から来たウイルス、だって。
ウイルスという言い方は言い過ぎかもしれません
言い方を変えます

言語は宇宙から来たバグの多いOS

このOSの一番の欠点は妄想が暴走しやすいこと
すぐ落ち込んじゃうのはこいつのせい
(瞑想というのは、この暴走を起こさないようにすることだと理解しています)
そして
必ず2元論に陥りフリーズする
善と悪とか
社会と個人との間で思考停止する
さらに
決して真実を語ることができない
(真実は語るものではなく、行動するものだから)

書を捨てよ、町へ出よう

寺山修二は、言葉の欠点を知り尽くした
数少ない作家のひとりかも
って偉そうにいうほど、僕は本を読んでいませんでした

3月25日

ベランダの防水工事は終わったようです
先週は
花粉症と
防水工事に使ったと思われる接着剤のシンナーの匂いで
へろへろでした

工事のために外されていたエアコンの室外機を元に戻してくれたのはいいんだけど
前後が逆です
これでは熱が逃げません

最近の
日本の職人の質の低下は否めません
(それを心配してか
僕は彼らの仕事ぶりを彼らが帰った後
逐一チェックしていたのです(笑)
トップはだめでも現場はすばらしい国だったのに
匠の国だったのに

文句の電話をしてやろうかと思いましたが
めんどくさいので
自分で直しました

3月26日

社会に貢献するより
生命に貢献したい今日この頃
税金も年金も
生命に対して納めたい

3月27日

岩手県の遠野あたりのサイクリングロードを自転車で走りたいなあ
と思う今日この頃
都内で自転車に乗っていると
スピードに載ってきた頃に信号で止められ
停止状態から再びこぎ始めるという繰り返しなので
実はそれほど楽しくないのです(笑)
(でも走るけど)
何も障害のない遠野のサイクリングロードを淡々と走りたい
空気もいいしね

3月28日

自分の意見がちゃんとある人
なんでも自分で工夫して出来る人は
腎臓を弱めやすい性格だそうです
なんだか酷い話ですが
ようするに裏を返せば頑固者。
頭ごなしに人に命令されるのが嫌いな人
たまには理不尽な意見に「はいはい」と従うことが
腎臓の健康にはいいようです
何事もバランスですね
腎臓は一度悪くなると治りにくい臓器です
健康のため
へらへらと生きましょう(笑)

3月29日

町屋で飲みました
メンバーは
Y新聞の偉い人Nさん、グラフィックデザイナーのSさんと僕の3人

Nさんはまったりとして人情味あふれたおじさんですが、実はとても切れ者です
Sさんは、灘高出身なのに美術系という変り種

日本酒を飲んでギョーザをつつきながらのよた話のメインテーマは
「どういう理由で女性にふられたか」

ふられた理由を聞くというのは
ふられた本人が分析して話をするわけですから
その人の客観性の度合い
男としての自尊心の度合い
愛の深度
人と人の距離感
そして
自嘲観?(笑)
などなど
その人らしさがちらりと垣間見えて面白いです

3月30日

誘われて友人宅でたこやきパーティ
学生時代たこ焼き屋さんでバイトしていたというご主人の
腕はプロ級
とてもおいしかったです
小学校6年生の娘さんにいろいろちょっかいを掛けられたのですが
そのリアクションが悪かったらしく
「きもい」といわれてしまいました(笑)
小学生の女の子なんて
どう対応していいかわからんな〜

3月31日

やはり花粉症のせいもあり
3月はテンションが下がります
春など来なければいいのにと思いつつも
桜は狂おしいくらい美しい

桜の美しさって、どこか絶望的です