かものはし日記 2006年12月号


12月1日

小学4年生の女の子を目の前に
お酒を飲む
「めがねのおじさん」
「ビールは二本まで」
と言われてしまう
いろいろ質問をしてみるのだけど
適度にはぐらかされる(笑)
小さくても精神性はきっちり女だ
女って、生まれたときから女なんだな
と改めて思う

さらに別の小学4年生の女の子に
うつぶせになって背中を踏んでもらう
マッサージにはちょうどいい体重
背中踏み料として50円を請求される
僕が子供の頃は
もっとふんだくったような気がします
なかなか良心的(笑)

ちなみに
女の子を監禁しているわけではありませんよ(笑)
友人宅に招かれて
そこに招かれた別の友人の子供たちです

さらにミラクルフルーツというのを食べさせられました
食べると
レモンが甘く感じる不思議な食べ物

家庭料理満載の
幸せで不思議な宴
いつもいつもはみだし者の私に優しくしてくださって恐縮です

12月2日

もくもくと仕事

資料を探していたら
スタンリー・キューブリックの写真集というのを
見つけました
宝石のような映画を撮り続けた天才監督として
知られている彼ですが
当然のように写真もすばらしいです
しかも結構エロい

視点は微妙に違いますがデヴィット・リンチの写真にも近い

こーゆう方たちは
人の隠れたエロス(生命力)を見つけるのが上手なんでしょうね

12月3日

午前中はもくもくと仕事

午後
友人の年に一度の舞台を観に
代官山シアターアプルへ
今回の題目はとても重い

ベルトルト・ブレヒト作
「第三帝国の恐怖と貧困」

ドイツ人の夫を持つユダヤ人の妻を一人芝居で
演じきる友人に圧倒されました
毎年すごみが増してくるな〜
そしてエロい(笑)
そろそろ別の劇団でもやって欲しい

夕刻
編集の友人のお誘いで門前仲町へ落語を聞きに行きました
第六回「落語馬花」の会
柳家初花
金原亭馬吉
柳亭こみち
の若手中心の会ですが
ゲストは、立川龍志師匠
圧巻でした
僕は今年初めて間近で落語を体験したのですが
話しているだけなのに
ほんとうに映像が目の前に浮かんできます
面白いからもちろん笑ってしまうのだけど
笑う前に芸の凄さに感動しちゃう

たっぷり2時間半落語を堪能した後
噺家さん達を囲む宴に参加
普段の彼らの話もとても面白い
さすがプロ
今日はずいぶん笑いました
人を笑わせるって愛だよねえ

柳家初花さんと帰り際
抱きあいました(笑)
(生き別れの兄弟のように似ていたので)

12月4日

あるイラストに「寂しさの栽培師」というタイトルを付けました

寂しさはじっくりと育てるもの
いつか素敵な花が咲きます
素敵な花を咲かせるには
決して
「光と影」という肥料を与えないこと
二元論から発生する葛藤は
寂しさの発育に悪影響をもたらします
下手をすると
憎悪の花が咲いてしまう

12月5日

朝作ったタマゴとトウモロコシのスープを
お昼に
鍋ごとひっくり返しました

お昼はパスタとトウモロコシのスープの予定だったのに・・(泣)

12月6日

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davka / lavy's dream

Violin Daniel Hoffman
Cello Moses Sedler
Percussion Peter Maund

ユダヤ音楽を基調としたジプシー・ジャズ
davkaとはヘブライ語のスラングで「予期に反した」という意味らしい
即興性に重きを置いている、ということかな

ヴァイオリンのDaniel Hoffmanがすばらしい
ヴァイオリンとチェロの絡み、そしてめくるめく変拍子のリズム

ヴァイオリンの神経質でエロティックな音が好き
擦弦楽器っていいよね

ヴァイオリンの音のようなのびやかで繊細な線
そういう絵が描きたい

12月7日

テレ東の木曜ロードショーを観る
クリント・イーストウッド監督主演「ミリオンダラー・ベイビー」

「彼女は神に助けを求めているんじゃない
俺に求めているんだ!」

と、主人公が神父に怒鳴るシーンがとても好き

結局人と人が助け合わなければ
何も起きないということ
人と人の間に神がいる西洋社会に対する
批判のようなものがイーストウッドの中にあるのかも

昼間は同じくテレ東、午後のロードショーで
10年ぶりくらいに「G.I.ジェーン」を観ました
女性が海軍特殊部隊SEALの候補生として
過酷な訓練を受ける、というお話
封切り当時は酷評されていたけれど
それほど悪い映画ではないと思う

D.H.ロレンスの詩の一節を引用するところなど
なかなか良い

I never saw a wild thing sorry for itself.
A small bird will drop frozen dead from a bough without ever having felt sorry for itself.

野生のいきものは、決して自分自身を哀れんだりしない
たとえ木からおちて凍え死ぬ小鳥でさえ、自分が哀れだと思ったりはしない

12月8日

漫画家の友人のパソコンのビデオカードが壊れてしまい
サポートのため一緒に秋葉原へ
パソコンのパーツとパーツを結ぶデータ伝送路の規格、いわゆるバス規格が
現在PCIからPCIExpressという全く違う規格に移行しているため
旧式の交換パーツを探すのに苦労しました
ほんの3年前の最新型のマシンなのに
もうパーツを探すのに苦労するというのは
いかがなものでしょう
彼のマシンは、今の最新型と比べてもほとんど遜色がないのに

ま、でも
実はそういうパーツを探すのはとても楽しいのです
人のパソコンでもわくわくしちゃう(笑)

12月9日

友人達と御岳山へハイキング
大人のハイキングはとても過酷

雨天決行(笑)

でも悪天候のおかげで
霧がたちこめる御岳山の美しさを堪能できました
霧がよけいな背景を上手に消してくれます
水墨画のような世界

普通雨が降ると山には登らないので
こういう経験は初めて
雨の日は雨の日の美しさがあるのですね

御岳神社にお参り
雨にもかかわらず
とても晴れ晴れとした気分になれました
急傾斜の坂を歩くと
アキレス腱がよく伸びて身体的にもとても気持ちがいいのです
今年一年の無事を感謝して下山
雨のハイキング
けっこうお勧めです

12月10日

人に迷惑をかけないように
と、子供の頃から教わるけれど
人に迷惑をかけずに生きていくことは不可能。

上手に人に迷惑をかける技、もしくはセンスを磨きましょ
というのが正しいような気がする
ダライ・ラマがよくチャーミングであることが大切とおっしゃっていたのは
そういうことなのかも

あいつに迷惑をかけられたい、と思わせる
そういう人にワタシはなりたい(笑)

12月11日

人のアラはよく見えるもの
それは思い入れがないから
思い入れがないのは、愛がないからではなくて
先入観が少ないから
ゆえに
直感が働きやすい
何を直して何をすべきかがなんとなくわかってしまう
逆に
自分のことに関しては思い入れたっぷりだから
何をして良いかがまったくわからず
よけいなことをしてドツボにはまる
たまには
自分のことについて
まったく他人事のように観察してみるのもいいかもしれない

12月12日

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77 million paintings / brian eno

今年の春に
原宿のラフォーレミュージアムにて開催された
ブライアン・イーノのインスタレーション作品のDVD
イーノが長年かけて描いた絵や写真を
ランダムにそして多層的に変化融合させながらモニターに映し出す
自動生成アート装置
その組み合わせは77、000、000通り
さらにBGMも
自動生成され
同じ音楽を聴くことはないそうです

この作品はDVDプレーヤーにかけて鑑賞するものではなく
アプリケーションとしてパソコンにインストールします
(ファイルの容量は2G以上と結構でかいし、パソコンのスペックもそれなりのパワーを要求される)
ファンの音がうるさいディスクトップパソコンでの鑑賞は
ちと辛い
ハイスペックなノートパソコンがお勧め
(ディスクトップの人はヘッドフォン必須)
イーノ信者としては
教祖のなさることに何も文句はないのですが(笑)
その辺のパソコン事情を加味して作品を発表して欲しい
あなたの作品は
常に
静寂の中でしか鑑賞できないのだから

12月13日

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we could be flying / karin krog

スティーブ・キューンのトリオ(スティーブ・スワロウ、ヨン・クリステンセン)をバックに
キュートに歌うカーリン・クローグ
1974年7月30&31日録音
全然ジャズボーカルっぽくない先鋭的なキュートさが
とてもジャズらしい

12月14日

今日は神保町でいろいろな話をしましたが
結局のところ
今日のテーマは

自分の中の寂しさ、孤独を受け入れないと
誰も(何も)愛せず
誰にも愛されず
一生を終えてしまう

ということかな

12月15日

昨日神保町でようやく買った
ポール・オースターの新作「ティンブクトゥ」の表紙の犬を眺めて過ごす
さて、いつ読もうか

12月16日

どうやら風邪を引いたらしく
ショウガ湯を飲みながら
ベッドでごろごろ本を読む
最近は
そういうことでもないと本を読まない

リチャード・ブローディガン著 「西瓜糖の日々」

アイデス(iDEATH)という「自我の死」と名付けられた
コミューンの様な共同体の中で静かに暮らす人たちの物語
過度なものはなにもなくすべてのものが死んでいる様に見える静謐な世界の中でも
人々の心は穏やかではなく何かにおびえ
それがいくつかの悲しい事件を引き起こす

作者はこの世界の人たちを
肯定も否定もしない
そして我々読者に
あなたはこの人達を肯定も否定もせずに
ただ観ることができますか?
と問うているのかもしれない

それができたとき
初めて自我(観念)は死を迎え
ある的確な行動だけが行使され
本当のアイデスの住人になれる、のかもしれない

12月17日

なぜだか無性にロールキャベツが作りたくなり
その気持ちに従うことにする

キャベツを破れないようにむくのはなかなかむずかしいのだが
破れてしまったところを別のキャベツで補修しつつ
巻き上げるのもロールキャベツ作りの醍醐味である
(買ってしばらく放置しておくと、しんなりしてきて剥きやすい)

 

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スポンティニアス・アーキテクチャ#1

12月18日

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スポンティニアス・アーキテクチャ#2

12月19日


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スポンティニアス・アーキテクチャ#3

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スポンティニアス・アーキテクチャ#4

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スポンティニアス・アーキテクチャ#5
(自然発生建築群)

12月20日

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スポンティニアス・アーキテクチャ#6

先日テレビを観ていたら
ライブペイントで抽象画を描いている人がいて
あまりに楽しそうなので
自分でもやってみようと思い
スポンティニアス・アーキテクチャというタイトルで
連作を描いてみました
スポンティニアスというのは
ずいぶん昔のことですが
間章(あいだ あきら)というフリージャズ評論家の本の中で見つけて
とても気に入っている言葉です
自然発生的、という意味らしいです

抽象画を描いているときはほんとに
瞑想状態
何も考えなくて良いということが
いかに気持ちが良いかが
わかります

具象はつらい・・(笑)

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スポンティニアス アーキテクチャ#7

12月21日


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holy ghost : rare and unissued recording /albert ayler(1962ー70)

アルバート・アイラーの9枚組
宝石のようなボックスセット
圧巻のパフォーマンス
やっぱりアイラーのサックスの音色が一番好き

力強いのに
ちっとも攻撃的でない
とても優しく魂に響く

オレンジ色の音楽

 12月22日

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一人暮らしだと
キャベツ丸ごと一個使いきるのにほぼ10日かかります
来る日も来る日もキャベツ・・

12月23日

久々に良い天気
今日は
大洗濯大会
風邪をひいていたせいもあって洗濯をさぼっていたので
もう着るものがありません(笑)

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建設中の「響」

12月24日

幸せは求めるものではなく
感じるもの
感謝は観念ではなく
感覚なのかもしれないと思うクリスマス・イブ

メリークリスマス

12月25日

ひさしぶりの方が遊びに来る
もと担当の編集者さんで
現在は起業して
エンターティメント全般を取り仕切る会社の社長さん
ほとんどフリーランスの集まりのような
不思議なシステムの会社
昔から変わった人だなと思っていたけれど
作る会社も変わってる(笑)
でも、元気そうで安心しました

12月26日

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おれのせいじゃないよ
(ホッキョクオオカミ談)

 

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観と音

今日は雨の音だけが聞こえる
静かな一日でした

世界を何の先入観もなく見つめ
内なる声に耳を澄ます
そうすればおのずと
あるバランス感覚が
僕を何とかしてくれるでしょう(笑)
そう信じて来年も生きていきます

12月27日

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寂しさを癒すために生まれてきたわけではなく
寂しさを極めるために生まれてきました

猫に見習う日々

12月28日

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「おまえは成仏とかせんでもええから、
いつまでもわたしの後ろに漂っていなさい、
わたしが死んだらいっしょにあの世に帰ろう」

という長いタイトルの絵

とある人から飼っていた猫がなくなったというメールを頂き
そのメールの中にあった彼女の素直な気持ちを絵にしてみました
(彼女も猫もお会いしたことがないので想像画です)

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大家さんにたのまれて
マンションの共有スペースの蛍光灯を変える作業をする
すっかり
マンション常駐電気屋さんになっております(笑)

12月29日

貸スタジオでドラムを叩く
叩き納め
アコースティックドラムは
自宅で練習しているエレクトリック・ドラムとはタッチが全く違うので
最初はとまどうのですが
やはり本物は気持ちがいいな

バスドラムのキックペダルを
裸足で踏めばいいのか
靴を履いて踏めばいいのか
靴下なのか・・
いつもそこで悩みます(笑)

12月30日

先日の
マンション共有スペースの
蛍光灯付け替え作業のお礼に
大家さんから鏡餅とビールを頂きました
鏡餅は、パソコンの上に。
ビールは今飲んでます。(午前中)

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nine horses / money for all

デイヴィッド・シルヴィアン、スティーブ・ジャンセン、バーント・フリードマンの
共同プロジェクト nine horses の2枚目(ミニアルバム)
相変わらずの
繊細さと暖かなぬくもり

年の瀬ですっかり静かになった東京で聞くには
ぴったりかも

12月31日

朝から台所の大掃除
換気扇回りが一番大変
食器棚の奥から
未開封だけど期限切れのちょっと高級なオリーブオイルを見つけて
しばし悩む
賞味期限は2005年4月?
つい最近じゃないか

大晦日なのに相変わらずメールボックスの中は
スパムメールでいっぱい
普段こういう悪いことをしている人たちにも親がいるわけで
年に一度くらいは故郷に帰って
親孝行すればいいのに

こういう人たちも含めて
良いお年を