かものはし日記 2006年11月号
11月1日
最近は
蕎麦と柿だけ食べて生きているような気がします
(両方大好物)
でも今日は柿の葉寿司を頂きました
とてもおいしかった
秋っていいな〜
そうそう
先日鶯谷の「哲学堂」というラーメン屋さんで
トマトラーメンというのを食べました
このお店は全体的にヘルシーという哲学があるようです
確かにヘルシーでしたが
はたしてラーメンとはヘルシーであるべきなのか
そこに葛藤があります
11月2日
先日参加した焼き物教室で作った縄文式コーヒーカップが
焼き上がりました
なんか凶悪・・・
どのアングルから撮っても変な形
でもこのコーヒーカップで飲む朝のコーヒーはとてもおいしいのです
明日より3日間
6歩展です
今神楽坂は「神楽坂まち飛びフェスタ」が開催中です
今年から6歩展もその一環になったようです
街全体をアートしちゃおうというイベントは
先日の谷中でもありましたが
最近は多いですね
本来アートっていうのは企業がしかけるのではなくて
自然発生的におこること
いいことです
11月3日
6歩展開催中です
来てくださった皆様ありがとうございます
オープニング・パーティの後は
友人達と日暮里の小さいバーでアコーディオン・ソロライブを聞きに行きました
アコの厚みのある音はソロにはぴったりですね
でもソロライブこそ
広い、音の響く場所で聞きたいのです
奏者の放った音が壁にあたって跳ね返ってくる
その音を聞いて奏者は次の音を決める
そういう醍醐味を味わうには
広いホールが必要なんです
今日とある人が言った名言
「レズって、終わらないジャズですよね」
意味がわかりません(笑)
11月4日
今日、うちの近所は酉の市
てぷちゃんと神楽坂でランチをした後
酉の市へ
毎年出向いてようやく気付いたのだけれど
出店というのは適当に場所取りをしているのではなく
毎年ちゃんと決まっているんだね
今年も五平餅を売るひとりボケツッコミのうまいおじさんの店はいつもの場所にあり
五平餅はおいしいし
おじさんも元気そうでとってもうれしい
夜は6歩展会場にて
いわきさんときょうさんのアコーディオンと朗読のライブ
「なんでもない一日がいちばんすばらしい」
という最後の朗読が素敵でした
彼女たちのメインテーマなんでしょうね
なんの葛藤もなく
ただ淡々と世界を見つめて
愛情を持って
なんでもない一日を過ごすのは一番むずかしいのです
日々そういう日でありたいと思います
11月5日
6歩展最終日
ご来場ありがとうございました
お久しぶりの方々にお会いできて嬉しかったです
来てくださった方々
展覧会のメンバーの方々
みんなに支えられて生きてます
おいらは
11月6日
john zorn / issue one
ジョン・ゾーンが立ち上げた
収益の100パーセントをアーティストに還元する
新たな形態のライブハウス、storn の運営費に
このCDの売り上げが充てられるそうです
ジョンはえらいな〜
内容はこのメンツを観れば
一目瞭然
かっこわるいわけがない
(手抜きな解説)
JOHN ZORN(sax)
DAVE DOUGRAS(tp)
MIKE PATTON(vo)
rob
burger(org)
BILL LASWELL(b)
BEN PEROWSKY(dr)
ayuo アユオ & 太田裕美 / red moon
太田裕美と言えば
僕らの世代では隠れファンの多かったアイドル
名曲「木綿のハンカチーフ」
無論僕も好きでした(後藤も好きだって言ってたな)
その彼女がジョン・ゾーンのアヴァンギャルドレーベルtzadikで
アルバムを出すなんて
どういう接点?
が、しかし
高橋鮎生さんが間に入るとなると
何となく繋がってきます
とても素敵なネオトラッドアルバム
チャーミングな彼女の声も昔のまま
11月7日
友人が近所まで来ているというので
ちょっとお茶
会社をやめて独立して
アロマテラピーとマッサージのお店を開いたようです
若干元気がなさそうなのが
ちと心配だけど
とりあえず
何とかやっているようで、何より
11月8日
お昼ご飯
先日頂いた
モンゴルの岩塩を使って
トマトパスタを作る
トマトは真っ赤
岩塩はまろやか
料理は腕も大事だが
食材が一番大事(のような気がする)
夜は豚汁
11月9日
シャルロット・ゲインズブール/ 5:55
思っていたよりずっといいアルバム
ウィスパー・ボイスというやつですね
囁くような歌声
アレンジも良いです
ずいぶん素敵な女性になりました
お母さん(ジェーン・バーキン)よりずっと雰囲気があるのは
お父さん(セルジュ・ゲインズブール)の骨格を引き継いでいるからでしょう
完璧じゃないところがいい
遙か昔,今はなき六本木WAVEの地下の映画館で彼女のデビュー作
「なまいきシャルロット」を観たな〜
あれから十数年、いくつになったんだろう
歌っている姿はyoutubeで観られます
http://youtube.com/watch?v=zrhfaEwE-Nk
11月10日
jack dejohnette +bill frisell /the elephant sleeps but still remembers
最近絵を描くのがとても楽しいのは
このアルバムのおかげ
日々、このアルバムをBGMに
絵を描いています
ジャックとビルのデュオ・インプロヴィゼーション
たった二人なのに、とても多彩な内容
お互い何をすべきかが直感的にわかり、それが行動になる
そのプロセスに
思考も
葛藤も
恐怖も
存在しない
その行動を愛といっちゃってもいいような気がします
11月11日
シャアに学ぶ男の生き方、のような本が出たそうです
もちろん、シャアはガンダムの人気ナンバー1の敵役
確かに子供の頃観たときはかっこよかった気がするが
大人になってよくよく考えてみたら
この男は何をしたいのかさっぱりわからない
状況状況でもっともらしいことを言っているだけ
才能はあるけれど人としての核がない
こんな本が売れるようなら日本は終わりだ
そんな本を出すより
今のご時世
「カツオに学ぶ過酷な子供時代の生き方」のような
本を出した方が良いような気がするな〜
11月12日
午後
谷中のお寺へ
馬頭琴と子守歌のライブを聞きに行きました
お寺の壁や柱に染みついた
350年の長きにわたる人々の思いが浄化されていくような
そんな感じがしたすばらしい演奏でした
うん
音楽ってすごい
11月13日
コンビニのレジの前で順番待ちをしていたら
小学生くらいの男の子が、レジのお姉さんに
赤信号の時はちゃんと渡らないで待っているのよ
観てたんだから〜
と優しく諭されていて
すぐ後ろで会話を聞いていた僕がにこにこしていたら
おにいさん(ぼくのこと)がちゃんと信号待ちしていた横を
この子が無視して横切っていくんだもの
と、今度は僕に話しかけるので
思わず僕は
え?ちゃんと信号待ちしてました?
めずらしいな〜
と言ってしまい
レジのおねえさんに憮然とされてしまいました
少年よ
車が来ないと判断したら
信号無視ぐらいしてもよい
ちゃんと信号待ちをしていても
酒気帯び運転の車がつっこんでくる可能性だってあるのだ
システムに囚われてはいかん
11月14日
11月15日
どんなに遅く寝ても
起床時間はほぼ毎日5時半
今の時期はまだ真っ暗です
そして静寂
一日のうちで一番静かな時間
この静寂を体験せずにいられるか、と
どんなに眠くても無理矢理起きて
コーヒーを入れる
今日は朝焼けが綺麗でした
早起きは三文の得と言うけれど
三文どころじゃないよ(笑)
リテイクを食らって
描き直しのため
真っ白な水彩紙を机の上においてコーヒーを飲みながら
じっと紙を見つめる
ああ、白って美しい
なんでこの紙を汚さなくちゃなんないの?(笑)
11月19日
今日はなぜか
山下達郎の「アトムの子ら」を歌いながら
絵を描いていました(笑)
「どんなに大人になっても
ぼくらはアトムの子供さ
どんなに大きくなっても
心は夢みる子供さ
いつでも100万馬力で
みるみる力がみなぎる
だからね、さみしくないんだ
僕らはアトムの子供さ
oh boy
どんなときでもきみのことだけを
oh boy
考えていたっけ
意地悪する子がいたって
最後は仲良くなれたよ
あの子はどうしているだろ
今でも大事な友達
みんなで力を合わせて
素敵な未来にしようよ
どんなに大人になっても
僕らはアトムの子供さ」
リズム中心のかっこいいアレンジ
名曲です
大人はこういう気持ちを忘れてはいけません
世の中はこんなにシンプルなのです
11月20日
borah bergman /meditation for piano
感情と愛はべつものかもしれません
もちろん感情の中に愛は含まれているのかもしれませんが
愛は感情には左右されない
愛は詩ではなく行動である
雨音のようなピアノの音に
何の感情も感じられないけれど
心にとても響いてくる不思議な音楽です
11月21日
注文していた水彩紙が届く
白い紙に向かってもくもくと絵を描きたい
ただそれだけ
11月22日
来年の1月に築地本願寺で開かれる
バリアフリー・ワークショップのイラスト
人の身体の70パーセントは水
その中を流れる生体電気が奏でる電子音楽
身体を通して
自身の感覚を取り戻す
11月23日
友人の彼女が作ったかものはしの箸置き
とてもかわいい
11月24日
夕べは、大学の先輩と呑みました
彼は今年の夏に18年の結婚生活にピリオドを打ち(打たれ?)
現在は花の独身生活
おつとめご苦労様でした(笑)
しかし
この人、酒が強い
二人で焼酎のボトルを一本開けたのだけど
僕は多分3分の1も呑んでいないような気がする
それでも
今日はでろでろ
夕刻
再びリテイク
酔いが醒めました(笑)
11月25日
弾き語り紙芝居「山月記」を観に、そして聞きに
柏の中村順二美術館へ
大野隆司さんの
コントラストのきいた緊迫感のある紙芝居
と
黒川倬生さんの
切ないギター
そして
語り
ともすれば感傷的な作品を
北原久仁香さんは決して情に流されず、容赦なく語ることで
逆にある種の優しさを感じさせてしまうような
不思議な迫力がありました
ラスト
大野さんの描いた寂しさに満ちた虎の姿は
この作品にひとつの道筋を見いだしたように思います
葛藤の果てにはなにもないけれど
もし
寂しさを受け入れたなら
虎はまた人に戻れるかもしれない
寂しさこそが人の本質で
素敵なところだから
三人の山月記への微妙な想いの違いが
うまく絡んでいたように思います
うん、いいジャズを聴きました(笑)
そんな感じ
11月26日
tom waits / orphans
ボブ・ディランが密かにあこがれているらしい(笑)天才詩人音楽家tom waits7年ぶりの新作
なんとCD3枚組
以下はライナーより
このレコードの中心は私の声だ。
酒をガブ飲みし
足を踏み鳴らし
さめざめと泣き
囁き
嘆き
喘ぎ
スキャットし
思わず口走り
激怒し
泣き言をいい
女を口説く
そのどれも上出来だ。
私の声は何にでもなれる
少女
人さらい
電子楽器テルミン
爆竹
道化
医者
人殺し
なんでもござれ。
粗野にもなれるし
皮肉っぽくも
錯乱状態にもなれる。
声自体が楽器なのだ。
−トム・ウェイツ
なんて書いてはいるけれど
ものすごいだみ声で歌っているけれど
決して品性を失わない
上品で無垢な音楽
11月27日
たとえば
絵を描いていると
その制作過程の中でいくつかの失敗します
この失敗を
修正して
当初のイメージ通りの形に持っていくのと
それを取り入れて
なんとか別の形に持っていくのとでは
ビジョンが大きく変わってきます
失敗は
身体(生命力)からの新たなビジョンの提示である
と、思いたい
その提示に対して
いかにしなやかに応えることができるかが
透明な生命力というものでしょうか
透明というのは
葛藤がないということ
葛藤を乗り越えようとする意思の力は
何の役にも立たない
失敗する前に提示して欲しいのだけど
身体はそういうわけにはいかないのね(泣)
思考ではないから
11月28日
本願寺ワークショップ最終決定イラスト
なかなか面白そうなワークショップです
身体性
即興性
思考を介在させない
葛藤の中で生きない
生命本来の発現の仕方に興味のある方は是非
詳しいことが決まり次第
お知らせします
11月29日
chemist(2006)
athenaeum, homebush, quay & raab(2002)
hanging garden(1999)
20年ちかく活動しているオーストラリアのベテランバンドらしい
the
necks
アンビエント・トランス・ジャズ
どの曲もものすごく長い(一時間以上)
アルバムは10枚以上出ているのだがたいていはCD1枚に対して1曲
athenaeum,
homebush, quay &
raabなんて
4枚組なのに4曲しか入っていない(笑)
(最新作chemistは、珍しくCD1枚に3曲入っている)
シンプルなリズムのドラム(ハイハットの音がきれい)とベースが地平線の彼方まで永遠と続く
反復する美しいピアノのメロディと時折エレクトロニクス
もくもく(黙々)としている
夜の虹を追いかけるような音楽
これを聞きながら
もくもくと絵を描く