かものはし日記2006年 2月号
2月1日
先月29日に旧暦の新年があけ
これからが本当の2006年
今年はびびって、荒馬の上で手綱を力一杯握っていないで
手綱を放し
ダンスを踊る気分で、バランスを保ちたい
大胆さは大事
ジャンプ台に立ったら、飛び降りるしかないのだ
昇る朝日の花
猫だまり
2月2日
あばらが青く響く
なにやら外がいきなり騒がしくなり
サイレンが鳴り響く
非常階段のドアを開けて、踊り場に出て体を乗り出して下を見ると
道路一面に消防車
あれ、うちのマンションが火事なのかな
と、きょろきょろしてみれば
隣の隣のビルからもくもくと煙
てきぱきと動く消防士さんのおかげで
あっという間に鎮火
風邪のようにすばやく動く屈強な消防士さん達にうっとり
日本は
現場で働く人は本当に優秀です
2月3日
green eye 葉緑素の網膜
和服の練習もしておきたい
節分祭に行こう!と友人からメール
節分祭と言えば、
高いところから豆をまく人間と、その豆を拾おうと群がる人間。
この世界は、階層社会であると言うことを否が応でも思い知らされる年に一度の行事のことですね
このプライドの高い俺様に豆を拾いに行けというんだな、おい
うん、近くならいいよ〜、と返事
と言うわけで浅草寺で待ち合わせをすることになったのだが
案の定アバウトな友人は、時間までに来られず(僕にメールをした後2度寝をしてしまったらしい)豆まきは終わっていた
そのあと、七福神の着ぐるみを着た人たちが、舞台で妙な踊りを繰り広げていたりして
浅草ってほんとにいんちきなところだ
そこが大好きなんだけど(笑)
お参りをしたあと
お汁粉をすすりながらふむふむと友人の話を聞く
いいことがあったようで、笑顔が素敵だった友人
浅草寺に神様がいなくても、あんたがしあわせならオッケーだよ
と心の中でつぶやく
よかった、豆を拾わずにすんで(笑)
2月4日
恐怖を抱きしめる少年
世界に敬意をはらうためにひざまずく少年
絶対的な確信を目に宿す少年
今日はリュックを背負って
近所の図書館に資料をあさりに行く
チャンバラの写真を探していたのだけれど
あまりいいのがなくて、代わりに
巨大なアンリ・カルティエ・ブレッソンの写真集を持ち帰る
彼はフォトジャーナリストとして世界的な知名度がありながら、絵も描く
というか
本当は画家になりたかったらしい
「写真は即時の行動、絵画は瞑想」
彼の言葉です
2月5日
2月6日
昨日は
植田正治写真展に行ってきました
彼のシュールな作品はなかなか言葉にできないのですが
空想、妄想といった安易な言葉ではなく
「想像力」が
大地に根ざし天空を目指した痕跡がちゃんとある
ということでしょうか
腰の入った想像力
その後、友人の知り合いの方がオーナーをされている表参道のギャラリーへ
2階がヘアーサロンで
オーナーはヘアーデザイナー
おしゃれなギャラリーです
僕は、なぜか
初対面のオーナーに
かわうそがいかにすばらしい生き物かをまくしたて
最後に
「ラッコもかわうそ!
ラッコは、海のカワウソなんです」
と力説してしまいました
うーむ、なぜ(笑)
挙げ句の果てに
オーナーに、加藤さんの背後に
かわうその先祖霊が見える
と、わけのわからないことまでいわれる始末
2月7日
バックアップ用のDVD-Rを買いに秋葉原へ
きらびやかな新製品が売っているショップには見向きもせず
ジャンクショップ巡り
ジャンクなハードディスクやパーツを眺めていると
なぜか落ち着く(笑)
人の記憶のようなモノがしみこんでいる機械が好き
2月8日
エンジンはオレンジ色の魂
大洗濯大会
寒かったので、洗濯をさぼっていたら
洗濯物が山のように増えてしまい
今日は大洗濯大会であります
今日は暖かいです
洗濯日和です
ロシア人の科学者が
太陽の活動が停滞期に入り
数年後プチ氷河期がやってくると発表したそうです
ちょっと寒くなると
氷河期がくるとか言い出したりして
温暖化はどうなったのだ
前回の引越の時
温暖化に合わせて、ダウンジャケットとか、みんな捨てちゃったんだよ
(先日僕の服装を見た友人に、加藤さん、それは秋の格好ですよ、と言われてしまいました
確かにこの格好は寒い
しかし、これ以上暖かい服はもうないのだ
カムバック温暖化!(笑)
2月9日
賢者とはすべてに驚く人(作家アンドレ・ジート)
素敵な言葉ですが
アンドレ・ジートって誰だろう
プチ人工魂の発生実験
2月10日
福井爽人いはく
「絵を描く為には、数字のない数学と、言葉のない詩が必要だと思う」
という素敵な文章をとある方の日記で見つけました
ああ、そのとおり!
2月11日
ここ数日は日差しが暖かくて
毎日ひなたぼっこ
光合成中です
毎年今頃は
テレビを付けると花粉花粉花粉花粉花粉
と連呼するので
なるべく付けないようにしています
(暗示にかかっちゃう(笑)
でも今年はオリンピックで
花粉のことは忘れているようですね
良い傾向です
2月12日
どこを省略して
流れをつかむか
という感覚を体得したい
(どの石をどければ、流れはよくなるか)
昔知り合いのちょっと変わったダンサーのねーさんに教わったのですが
餃子の餡にセロリのみじん切りを入れると
なかなか美味です
ほんのりとセロリの香りが口の中に広がります
今日はそれを大量に作りました
お勧めです
2月13日
今日は
マンションの地下のリアクターからゲッター線が漏れるし
自転車に空気を入れていたら、自転車が倒れて、空気の取り込み口がちぎれたり
プラスチックのまな板の上に熱くなっている魚焼き用の網を置いてしまい、まな板が溶けてへこんだり
さんざんな日なのでした
瞑想でもしたい気分
2月14日
オリンピックをちらちらと見ていると
人間てなんでもできるな〜って感心してしまいます
身体はパーフェクトな生体マシンです
ただ、マニュアルがないので困ってしまいますが
マニュアルを試行錯誤して作り上げることこそが人生であり
想像力というものなのでしょう
ゆえに
皆様
健康だけは大切にしてください
2月15日
2月16日
結び目
届きそうだけど、なかなか手が届かないところに結び目がある
愛する人に取ってもらおうか
(けれど、安易に恋愛に持ち込むのはあまり好きではない)
やはり
結び目は自分で取るしかない
2月17日
友人とランチ
いつも僕のことを育ちがいいから、と
枕詞のように言う10歳ほど年下の友人です
確かに、僕は育ちがいいです(笑)
でも
あなたも、どういう風に育ったかは詳しくは知らないけれど
ちゃんと(そして繊細に)育っていますよ
それはいつも自分のテーマとちゃんと向き合って生きているからでしょう
ご心配なく(笑)
2月18日
友人を誘って
イラストレーターのまつばらあつしさんが参加されている展覧会へ、
どうぶつかるた展
根津にある「花影抄」という素敵なギャラリーでした
手前が喫茶室で奥がギャラリーという構成がいいです
4メートル四方くらいの展示室
ここで個展をしたいな、と密かに思っています
ギャラリーは2階ですが
1階はきれいなおねえさんがいる居酒屋さんです
(それもいい(笑)
まつばらさんは、ポジティブなエネルギーを放つ方で
絵と同様素敵な人です
その後
根津の町並みを楽しみながら徒歩で友人と秋葉原へ
ジャンク屋めぐり
2月19日
2月20日
来月発売のSFマガジンで久々に赤青2色ページで
オリジナルのイラストストーリのようなものを描きます
SFっぽいのは久々〜
どういう風に描こうか楽しみです
2月21日
友人でありロック師匠のイラストレーターひろき真冬さんのHDが
認識しなくなったと聞き
うちのシステムを駆使すれば何とかなるんじゃないかと思い
わざわざHDを持って来て頂いて
あらゆる手を尽くして復旧を試みたのですが
認識せず
とても残念でした
その後は、近所のたまにいく居酒屋で
泡盛を飲みながら
いろいろな話をしました
自分の心の中に探査機を降ろして
深海で話しているようなそういう気分
うれしくもあり
恥ずかしくもあり
楽しくもあり
いろんな深度で元気を頂きました
ありがとうございます
2月22日
今日会った編集者さんが
あまりにさわやかな好青年なのでびっくり
繊細で優しくて明るく元気
SFなのに(笑)
頂いたSFマガジンに柴田元幸訳のファンタジー短編が載っていて
さらにびっくり
現代アメリカ文学最高の翻訳者、柴田さんがファンタジーを翻訳というのは
ほぼ畑違い
でも
SFがボーダーレスになることは
とてもいいことです
すばらしい
2月23日
ストレッチ
毎日のストレッチは欠かせない
(たまに半年ぐらいさぼるけど)
続けていると
体調もいいし
太らないし
なにせ、気分がいい
しかし
ストレッチを続けている間は永遠に筋肉痛なのだ
これはどうして?
2月25日
ラダック
小チベットと呼ばれ
中国共産党政権下の文化弾圧によって危機に瀕しているチベットに比べ
皮肉にもインドにあるために
チベットよりチベットらしい文化や宗教が残っている街
テレビ番組で
ラダックを紹介していて
街の人たちの笑顔を観ていたら
思わず涙が出てきてしまった
日々祈りを捧げ、質素で、優しい人たち
ここに失われた日本人の心があると、番組では言っていたけれど
過去を懐かしがるのではなく
ここが、地球の未来であってほしい
ラダックの寺院は
まるで
スターウォーズのジェダイの寺院のようじゃないか
2月26日
chucho valdes/live
何の気なしに聞いてみたchucho
valdes
キューバン・ジャズ
最強ピアニストです
なんて力強いピアノなんでしょ
圧巻
結構いっぱいアルバムが出ています
バンドじゃなくてソロピアノも聞いてみたい
ついにキューバのジャズに手を出すのか?
いやいや、まて
俺の芸風と違うだろ
え
キューバ?
反省しない音楽
2月27日
not in our name/Charlie Haden Liberation Music Orchestra
紛争や戦争など、政治的なものをテーマにしてきた
チャーリー・ヘイデン・リベレーション・ミュージック・オーケストラの第5作目
今回は、「アメリカ合衆国」がテーマです
音楽を使って
現政権を批判したりおちょくったり嘆いたりするわけではなく
われわれには
いまある自分ではなく
もっと優しく善なる存在としての自分があるはずだと
もっと違うアメリカがあるはずだというのが
彼らの思いでしょう
優しく力強い音楽
そして素敵な音楽家たち
ある種の過激さがクリエイティブなのかと思いこんでいましたが
実は、優しさってとてもクリエイティブなのね
っていうのが、わかります
優しさの中にこそ想像力がある
最近歳のせいか涙もろくて
これを聞くと涙が出ちゃうのです(笑)
去年の夏に出ました
愛聴盤です