かものはし日記
2006年1月号


1月1日

あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いいたします

1月2日

今の時代が
私の生きてきた中でいちばんひどい

これは、絵の先生をやっている弟の生徒さんで
90歳を超えるおばあさんの言葉です
お正月お酒を飲みながら、弟と話をしていて
いちばん印象に残った話です
もちろん彼女は太平洋戦争を経験しています
一見豊かで平和なこの時代が、その戦争よりも酷い状態だということを聞いて
何となくそんな気はしていたけれど
きっちり1世紀を生き抜いてきた女性の生の言葉に
少なからずショックを受けました

他者への配慮や想像力に欠けた人が増えて
人と人との関係性がどんどん殺伐としたものになっていく
そういった状況を彼女は
憂慮しているのかもしれません

1月3日

毎日美しいキッチンで料理をするのは
とても良い気持ち
綺麗な机の上で仕事をするのは
それほどでもないんだけど
(絵の具のパレットも汚い方がなぜか安心(笑)
今年の目標は、これだ!
こまめに掃除をして
美しいキッチンを保つ!

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panthalassa: the music of miles davis(1998)

ビル・ラズウェルのリミックス版
最近のお気に入り
とにかくマイルスがすばらしいことをビルがちゃんとすばらしくしているところが
すばらしい
(変な日本語(笑)
ビルってほんと偉い
自分を出さないことで
自分の個性を引き出せちゃう人がいちばんすごい

1月4日

ひろき真冬さん新春ライブ

現在開催中のひろき真冬さんの個展での2度目のライブに行ってきました
前回よりもひろきさんがリラックスしているせいか
ひろきさんの歌声とギターの音色が、すんなりと空気の中にとけ込み
会場を優しく包みます
ひろきさんの歌を聴きながら
ちらりと展示されている作品にも目を向けられる幸せ
絵と音楽のふたつの表現を持っているひろきさんならではです
ほんと素敵
「宝箱」という曲が大好きだと伝えたら
その曲をスタジオでやろうと言ってくださって
今から
ドラムの練習をしておかないと
すっかり元の初心者に戻っています(笑)

終電を逃し
上野から歩いて帰る
寒空の中てくてく歩いていると
体はぽかぽかと温まってくる
やはり冬はこのぐらい寒い方がいいな

1月5日

ネットワーク不調
朝からネットに繋がらず、ちょっと途方に暮れるが
ネットワークの構成を変えて
なんとかする
ハブ代わりに使っていたルーターがダメになっちゃったみたい
一部のデバイスがネットワーク全体を機能停止させるっていうのは
解せないけれど
ハイテクになればなるほどシステムというのはどんどん有機化して
非線形になっていくのかも

1月6日

今日は新年早々勝負の日でした
結果は後日
良い結果が出ることを森羅万象に祈っています
試験の合格発表を待つ学生の気分
ほっとしたのと不安と両方
今日は一人で飲んだくれようかな(笑)

1月7日

2006年覚え書き

この世界は、敗者復活世界
何度負けてもチャンスはあると思います

自分に負けないということは
自分の中の喜びが何であるかを見失わないこと

1月8日

パソコンの水冷システムを取り外す

最近の地震の多発で、水冷システムがひっくり返って
パソコンが水浸しになるのが
怖いからというのがいちばんの理由
あと
仕事部屋に4.5リットルの冷却水のタンクが
お風呂の残り湯のように存在するのは
風水的に悪いような気がしたから(笑)

1月9日

今の時代は
個性が大事と言われている割には

「自分」であることを恐れているような気がします
時流に乗らないと生きていけないような、そういう気分
「自分」はそんなに怖くないです
そして
案外みんなにも受け入れられるちゃうものです

1月10日

仕事がちょっと一息ついたので
去年の神楽坂セッションハウスで開かれたグループ展
5歩展
で展示された作品をアップしました
(目次のページからもいけますが、「5歩展」をクリックしてください)
作品は販売しますので
興味のある方は是非のぞいてみてやってください

次は何を描こうか、思案中です
夏目漱石の「夢十夜」も魅力的
宮沢賢治だったら
「永訣の朝」
もしくは
「青森挽歌」

おまえの武器やあらゆるものは
おまえにくらくおそろしく
まことはたのしくあかるいのだ

この呪文のような、意味不明だけど、うっとりするような言葉を
どう誤読して絵にしようか・・

1月11日

Frank Zappa修行をしようと思い立つ
朝からず〜っと、年代順にフランクザッパのアルバムを
絵を描きながら聴き続ける
(正規版は70枚くらい、海賊版を含むと100枚以上?)
freak outから始まって
死後発掘された音源の中でいちばん最近発売されたjoe’s domageまでか
いや、それは邪道で
93年の遺作the yellow sharkまでが正しいのかな

どうして修行かというと
ザッパはあらゆる音楽を取り入れ、一つのスタイルを持たずに
常に変化していく人だったので
大好きなアルバムもあれば大嫌いなアルバムもあるのです
(やはり、ジャズ的なアプローチがなされたものが好きです
一番人気のSHEIK YERBOUTIは苦手)
一人の人間の多様性をいかに受け入れられるか
という訓練ですね(笑)

もう、freak outでいきなり挫折しそう

先日は、フリージャズ王のSanRa修行(30枚強)をしたのですが、これは好きなアルバムばかりだったので
修行になりませんでした(笑)

ZappaとSanRa
二人とも宇宙人としかいいようのない才能を持った変な人です
すごすぎてついて行けないところがたくさんあります
だいたい同じくらいの年(1993年あたり)に
宇宙に帰られました

1月12日

太陽系が、銀河系の中心を軸として一周するのに約2億年かかるそうです
二億年を銀河の一年とするなら
人類は誕生してからまだ9日しかたっていない
人は地球上でもっとも新しい存在ゆえに
過去のすべての生物を内包していると言われています
途方もない可能性と
途方もない責任がある
ほんと
途方もない
(どうしていいのか、わからん(笑)
自分も人間として、たまにぼーぜんとしちゃいます
だからこそ面白いんでしょうけど
(それが、賢治の
「おまえの武器やあらゆるものは
おまえにくらくおそろしく
まことはたのしくあかるいのだ」
に繋がってくるのかもしれません)

1月13日

マイクロソフトの次期OS WINDOWS VISTAの起動音が
ロバート・フリップの音楽になるらしいです
(まだ未定)
ファンとしてはとてもうれしいのですが
うちのメインのOSはWIN2000
(XPもいやいや使ってますけど、WIN2000は、いちばん動作が安定していて、シンプルで使いやすいんだも〜ん)
VISTAを導入するのは当分先になりそうです
ちなみに、WIN95の起動音はブライアン・イーノだったそうです

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jonas hellborg/kali's son

大好きなベーシスト、ジョナス・ヘルボーグの新譜です
南インドの打楽器奏者Selva ganesh
インドでもっとも進歩的なシタール奏者Niladri Kumar
に、ヘルボーグのフレットレスベースが絡みます
アグレッシブで、優しい最先端インド音楽
もう、うっとり

1月14日

自宅鯖をしばらく止めます
動作自体に問題はないのですが
ハブが壊れて本体を仕事机の近くに置かなければならず
本体の電源回路の発振コイルの高周波ノイズに耐えながら
仕事をするのが辛いので
やむなくダウン
関係者のみなさまにはご迷惑をおかけします

1月15日

イラストレータの田中光さんが
トラッドフォークの弾き語りライブをやるというので
聞きに行きました
絵と同様
優しい歌声と透明なギターの音色
ほんと、彼の絵の世界をそのまま音楽に変換したような
美しい音楽でした

そのあと
ひろき真冬さんの個展、最終日の会場へ
3度目の来場です
ひろきさんの絵を見るたびに感じるのは
緻密でとても丁寧なのですが
その丁寧さに溺れず
線にちゃんと勢いがあるところがすばらしいのです
ロックです

会場で
イラストレーターの槻城ゆう子さんと藤井えいしゅんさんの
競作同人誌を頂きました
槻城さんのコントラストの効いたエロス
えいしゅんさんの線の勢い
ふたりとも緻密なんだけど
省略すべきところはきっちり描かない
最近は、いかに描かないか、というのが
絵の善し悪しの判断基準になってます(笑)
聴いている音楽の趣味がちゃんと出ているところも納得(笑)

4人とも絵描きでありながら
背景には音楽があるのです
そういう人の絵が僕は好きです

1月16日

「右目の寂しさ、左目の意志」

スピリチュアルカウンセラーの江原啓之さんがおっしゃるには
今年のカラーは、青と赤だそうです
冷静さの青と情熱の赤
この二つの感情の均衡を保つことが
今年のテーマなのでしょうか

1月17日

今日は、落描きの日

気圏な少年

ウランちゃん

1月18日

落描きは続く

切実さの方角を示せ

自分で言うのも何ですが、変な絵(笑)

少年と猫

身体という音楽

行動こそが思考である
というのが、今年のテーマ
絵描きは手を動かして思考するって
今日はいっぱい落描きをしたけれど
何も思いつかなかったな〜(笑)

1月19日

絵を描くとき
誰かに会うとき
大きく目を開き
恐れと
敬意と
絶対的な確信
の三つを持っておもむく
これをちゃんと持って行ければ失敗しても後悔はしないんだよ〜

身体という音楽2

1月20日

青いジャケットの日

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恐るべき子供たち/philip glass 2005年

コクトーの有名な小説「恐るべき子供たち」をモチーフにした
ダンスオペラ
反復主体の建築物のようないつものグラス作品よりは
奔放な感じがします
お勧め
実際のオペラが観たい

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alina/arvo part 2000年

アルボ・ペルトの作品の中では、1,2を争うくらい好き
静寂、静謐とはこういう作品をいうのさ
不眠症の方には特にお勧め

1月21日

ipod nanoを買いました
思ったより音が良い
思ったより液晶が綺麗
こういう細かい仕事は、本来日本人がやるべきこと
何でアメリカ人が?
と、憤りを感じます

脱ヒッキー宣言?
ipodを持って街へ出よう、とか思いつつ
台所で料理をしながら音楽を聴けるのがうれしい(笑)
でも
今日は雪
散歩しながら
雪の中で聞くブライアン・イーノなんて、素敵かも

今日は絵を描きながら、ハードディスクの中の音楽ファイルを
ちまちまとDVD-Rに焼いてバックアップ作業
(おかげで、絵は集中力を欠き失敗しました)
僕は音楽ファイルを
ジャズ、クラシックジャズ、プログレ、ロック、ジャムバンド、ノイズ・インダストリアル、クラシック
アンビエント、DIVA(女性歌手)、現代音楽、民族音楽、OST(映画音楽、アニメなど)
というふうにジャンル分けして保存しています
微妙にボーダーな音楽家が多くて
振り分けるのがなかなか難しい
ちなみに一番多いのは、やはりジャズ

数日前ラテン歌手友人が、
展覧会のオープニング・パーティに行こうと誘ってくれたのですが
今日、パーティの時間まで連絡なし
相変わらずラテンです(笑)
東京は大雪
きっと遭難したのでしょうな

1月22日

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Krakatau/volition(ECM)

美しい赤いジャケット
秘めたる情熱
透明な憎悪
深くて絡む赤
ノイジーなフリージャズ
同じ名前で、インドネシアにプログレバンドがあるようですが別物でしょう
(こっちは、ガムラン・ジャズロックらしい(笑) こっちも聞きたい)

世界猫

北欧神話には世界樹という世界を支えている樹が出てくる
世界魚というのが出てくる神話もある
ならば、世界猫がいてもいいじゃないか
気まぐれなアウラ(風)全般を司る
ちょっとしっぽをふるわせるだけで
世界を一変させる
世界猫

世界猫のきまぐれは世界の必然

1月23日

実業家と言いながら
実は虚業
これを機に
物作り大国日本の復活を望む
日本は匠の国なのだ
ipodをアメリカに作られてど〜する
(内蔵リチウム電池の性能が悪いぞ、すぐなくなっちゃうじゃないか)

1月24日

喫茶店でネタを考えたり
絵を描いたり
というクリエイターっぽいこと(笑)を
やりたいのだけど、どうも苦手
今日も意を決してやってみたのだが
やっぱりだめ
おれは
やっぱりうちが好きだ(笑)

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live in greenwich village/albert ayler

ジャズにはメインストリームというモノはない
メインストリームに流れて行った瞬間にジャズではなくなる
車が入り込めないような
小さな路地にこそ
美しいモノが潜んでいる
彼は
誰も知らない路地を抜けて
あっという間にどこかに行ってしまいました

僕もそういう路地に迷い込みたい

1月25日

「悪いことだと思っていない」
「知らなかった」
など
潔くないと言うよりは
悪党として質が悪い
プロの悪党なら自分の悪意に対して
ちゃんと自覚を持って欲しいもの

ああ、なんて悪い奴なんだ
って、うっとりしたいじゃん(笑)

ほんと格好悪い奴ばかり

  

何を描くかというよりは
どう描くかということのほうが大事なのかもしれません

どう描くかということは
選択の幅を広げて、感受性を磨くこと

感受性を磨くには、
刺激を強めるのではなく、
努力とか訓練という機械的な行為を少なくして、
小さい違いを区別できるようにする

感受性って、新しい選択肢を行動することで見つけることのような気がします
中国の古いことわざに

耳は忘れ
目はうつろい
行えば悟る

些細な違いに気が付くこと
絵を描く上でも、生きていく上でも
僕はこれを一番大切にしたいです

1月26日

誕生日プレゼントに
仮面ライダー響鬼の
デラックス音撃棒セットを頂きました(笑)
(よかった、買わなくて(笑)
響鬼の放送終了時におもちゃ屋をうろうろしてました)
なかなかいい出来
かっこいい
とてもうれしいのだけど
惜しむらくは、
子供用なので、音撃鼓ベルトを腰に装着できない
(ベルトの長さが足りない)

これをつけて出かけたかったのに(笑)

仮面ライダー響鬼は
シャーマニズムを超常的な世界として扱うのではなく
人の生き方として提示できた画期的な子供番組でした
やはり後半脚本家が変わって全体の雰囲気が変わってしまったのは
とても残念でしたが
後半のテーマは
「人は変わることができる」
ということ
そういう意味では、よかったと思います

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Les Retrouvailles (再会)/ Yann Tiersen 2005年

ヤン・ティエルセンは
アメリやグッバイ・レーニンで知られるフランスの作曲家
繊細で美しい音楽
コクトー・ツインズのリズ・フレイザー
ジェーン・バーキンがボーカルで参加
歌も楽器のように響いて聞こえるのがすばらしい

1月27日

人間が生み出した中でいちばん美しい機械は、自転車だと勝手に思っていますが
人間が生み出した中でいちばん美しい建築物は、ブランコです

落下と浮遊を体験できるとてもエレガントな建築物
人が乗っていないときも、
座面はぶらんと宙に浮いていて、とてもシュールでミニマルなデザイン

子供の頃
自宅にはなぜか公園にあるより巨大なブランコがひとつあり
学校から帰ってくると、家の周りを自転車でぐるぐる回っているか
ブランコでぶらぶらしているかのどっちかでした

空と大地を行き来するさわやかな孤独感
あしたのジョーもブランコが好きでしたよね

最近無性にブランコに乗りたくなるのですが
公園にあるブランコは小さすぎるし、
僕のようなおじさんがひとりで乗っていると不審者扱いされそうで、ちょっと危険(笑)

たとえば
会社の中庭にブランコがあって
仕事の息抜きに乗ったりしてね
大人こそブランコに乗るべきだと思います

大人用のブランコを作って欲しい
(フィリップ・スタルクデザインとかね)

1月28日

誘われて、スピリチュアルカウンセラーの江原啓之さんの公演に行ってきました

あの世に持って行けるのは
感動と経験だけ
失敗を恐れず、いろんな経験をしましょう

という言葉が印象的

生きるのではなく、生き抜く

かつてのスピリチュアリズムと言えば
体が空中に浮くとか
病気を治すとか
悪霊が憑いているとか
瞑想で訳のわからない世界に行くとか
現象面のみにとらわれた稚拙なモノが多かったように思います
スピリチュアリズムとは
生き方のひとつの指針です
すべては本人の心のあり方が
自分の世界、自分の人生をきめていく、という
考え方です

辛い経験をして、それを乗り越えて生き抜いたとき
それは宴会で爆笑ネタとして披露できます
これからもそういう宴会ネタを増やすために
生き抜きたいと思いました(笑)

1月29日

光の傷口

1月30日