かものはし日記2002年4月号


4月1日

4月1日というわけではないのだが
頭の中はくだらないことしか思い浮かばず
アブトロニックのCMを観ながら
アブトロニックを頭に巻くと
5分間で
暗算300回したのと同じ効果が・・
とかね(笑)

大友良英の新譜
NEW JAZZ ENSEMBLE DREAMS
を購入
なんと戸川純が参加
なつかしいな、戸川純
バーバラセクサロイドとかね
けっこう好きでした
神経質そうであえぐようなボーカルは今も変わらず
意外とジャズと合う
おすすめ
前作もそうだけれど
大友良英のNEW JAZZシリーズは
聞き込めば聞き込むほど
とても切ない
僕は「切なさ」にとても弱いというか
切なさを感じないものには興味がないんだけれど
切ないっていうのは
葛藤の中から,生命力の渦の中から生まれる透明な感情
まさしく「切れない」。
世界から自分を切り離してなるものか、という
透明な欲望なんだよね
もう一人のボーカリストPHEWさんの声が
昔に比べるとずいぶん優しくなったのも
切ない

辻本氏について思うこと
多分
彼女のことも含めて
世界を変えようとしている側の人たちも
実は
旧世代なんだなあ
ってね
世界を「変えよう」という感情自体が
古くさいのかもね
何か新しい「変わり方」があると思う

4月2日

パソコンの横に置いてある
ハイドロカルチャー、シンゴニウムに
なんて名前を付けようかと考える
(ぼくはエアコンにも名前を付けているのだ(笑)よしおくん)
植物建築学という学問があるらしい
建物に植物を取り入れて
エコハウスのようなものを作って行こうというものだろうか
ハイドロカルチャーのような植物は
清潔だし手軽だし
エコハウスには打って付けなんだろうな
町中のビルの屋上にハイドロカルチャーを栽培する条例でもできれば
素敵だろうな
われわれはもう決して自然には戻れないのだから
都市デザインを自然化するしかないんだよね

4月4日

引っ越すたびに
エアコンを買っていて
引っ越すたびに
エアコンをおいていくために
今回も買わねばならないおれ
テレビを観ていたら
ついつい
ジャパネットたかたで買ってしまった(笑)
高田さんの話術恐るべし(笑)

4月5日

念願のVFXムービー
キャッツ アンド ドッグをビデオで観る
期待していたほどおもしろくなかったのは
猫が凶悪すぎるから
CGでの表情の付け方が怖い
猫好きには不評というのは当たっている
犬はかわいい

4月6日

脳というのは
放っておくと暴走するようにできているらしいのです
昔の(今もかな?)SF作品の多くは
たいてい何かが暴走して事が起こります
それがコンピュータだったり
ロボットだったり
ロボットもコンピュータを積んでいるので
まさしく脳(コンピュータ)の暴走と言うことができると思います
それらが人間の言うことを聞かなくなるばかりか
人間に害を加えようとするのです
身体や心を無視した脳優位社会に対する無意識の危機感が
そういう作品を生んだのかもしれません
けれど
脳が身体から切り離されて暴走するのは
現実にはコンピュータではなく
人間そのものなのです
身体のリズムから脳が遊離していく
そして勝手に暴走していく
勝手な妄想に陥っていく(勝手な思いこみをする)
そしてそこから抜けられなくなる
多分僕も含めて
こーゆう状態の人は少なからずいるのではないでしょうか
行動をすれば
(体を動かせば)
別にたいしたことはないのに
行動すれば
簡単に物事は解決するのに
暴走した脳は
行動する必要のない理由を
ものすごい速度で計算し始め
完璧な答えをはじき出します
そして
言うのです
「めんどくさいから、いやだ」

4月7日

東急ハンズへ散歩にいく
フィットネスコーナーでは
アブトロニックが馬鹿売れ(笑)
ハンズは変なものがいっぱいあっておもしろいね
僕はといえば
内視鏡付き耳かきに釘付け
耳あかがとてもよくみえておもしろい
別に欲しくはないけれど
誰かにプレゼントはしたい品だね

「デジタル ワイルドライフ」というタイトルの
アバンギャルド系ギタリスト フレッドフリスの新譜を買う
なかなかよかった
タイトルもいい

4月8日

朝からすこぶる体調が悪いので
今日は一日断食をすることに決めるが
妻がどこからかおいしいご飯を持って帰ってきたので
つい食べてしまう
意志が弱いね

髪を切りに行く
いつもは理髪師が女の子ばかりの理髪店に行っていたのだけれど
(べつに散髪プレイがあるとかそういう店ではないよ、ちゃんとした店(笑))
もう引っ越してしまって行けないので
どこかいい店はないかなと町をふらふら歩いていたら
カット980円という理髪店を見つける
どうせ坊主刈りだし
どこでもいいじゃんと
てきとうな気持ちで入ったら
なんのなんの、毎日たくさんの人をこなしている散髪屋さんだけあって
早いしうまいし
10分で終わってしまった
さすが職人
さすがデフレ

4月9日

人間は社会的動物だから
群れる
誰も一人では生きていけないのだから
問題は群れ方
どうすれば西洋的な自己を囲い込まずに
もっと開かれた状態で
群れられるか
自己を囲い込むのは恐怖心から
恐怖心から逃れるためのいちばんの精神安定剤は
憎悪
誰かを何かを憎むことで
人は安らぎとエネルギーを得る
今の社会(群れ方)は憎悪を基本としたシステムだ
素人っぽい人たち(笑)を無人島に押し込めて
生き残っていくというゲーム
「サバイバー」という新番組をちょっと観ていたら
(だってヤクルト巨人戦がつまんないんだもん)
新しい群れ方の模索には
まだまだ
道は遠いなあ、と思ってしまった

9月10日

ようやくジャズサックス奏者清水靖晃の「無伴奏チェロ組曲」を
手に入れる
チェロではなくサックスでの無伴奏チェロ組曲
もともとサックスはクラシックの楽器なのだから
当然といえば当然なのだけれど
ジャズのブリブリした(笑)サックスばかり聞いているので
まるで別の楽器に聞こえてしまう
透明なクリスタルのような演奏
単音(モノフォニック)なのだけれど
分散和音がもたらす仮想ポリフォニックな音世界
とても奥行きがある
何かに感動するというのは
自分の中にもそれと同じものが入っていて
共振するから
僕の体の中にも
バッハの無伴奏チェロが入っている
そういうことを常に実感していたいよね
幸せ、だよね

4月11日

オブジェ作家の友人が遊びに来る
40代半ばなのに
肌はぴちぴちしているし
目は輝いているし
とてもピュアな人
(面構えがいいので人相は怖いけど、スキンヘッドだし(笑))
奥様も美人
引っ越しを計画中らしい
カツラをかぶって不動産まわりをした方がいいのでは
と助言(笑)

4月12日

二匹の猫が寄り添って
ラブホテルの入り口に消えていくのを目撃(笑)
彼らにとっては
ただの通り道なんだろうけれど
なんかほほえましい

近所には
路上生活のおじさん達と小さい子供達と
ダンスを練習している若者達が
不思議に同居している公園がある
おたがいの交流もあるみたいだし
なんかいいな
僕も路上生活者になったら
ここを根城にしよう(笑)

4月16日

初めて誰かに会う
というのが好きです
会う前はどきどきするのだけれど
そのどきどき感が好き
今日会った人たちは
とても優しそうな方々でした

どうも最近餃子がうまく焼けない
引っ越してしまったために
いつもの餃子の皮が手に入らないのと
コンロの火加減がまだ不慣れ
餃子は僕の得意料理で
3度に一回は
プロ並みのできばえなのに
ちょっとがっかり

4月17日

コスタリカ戦
フォワードより2列目以降の選手のゴールがめだつ日本代表
この際だから
フォワードという概念を捨ててしまうというのはいかが
日本人は性格的にストライカー向きじゃないと思う
中盤は世界レベルなんだから
全部中盤でいいじゃん(笑)
鈴木も柳沢も今ひとつ
三都主はショートコーナーばかりでつまらないし
俊介を使って欲しいな

4月18日

イランの映画「キシュ島の物語」を観る
3人の監督によるオムニバス映画
オフビート系
ペルシャ湾の海の青がとてもきれい
何も起こらないし、訳もわからない
でもこーゆうのがリアルなんだと思うな

4月19日

NHK教育で
谷中・根津・千駄木の特集をやっているのを観て
ああ、この辺に住みたいなあ、と思ってしまった
(引っ越したばかりなのに)
関東大震災であまり被害がなかったらしく
昔ながらの下町情緒
もともと僕は文京区生まれの下町っ子なので
(ほとんど記憶はないけど)
最終的には生まれ故郷に帰りたいような気がしてます
古い木造家屋を借りて
仕事場にできたら最高だな
(野良猫にえさをやり放題!)
文京区は文豪がいっぱい住んでいたらしいし
文化度高いから、きっと自由業者にも優しいと思うし
出版社もいっぱいあるし(笑)

4月20日

イラン映画「キシュ島の物語」を観て思ったのだけれど
日々淡々と
取り立てて派手なことが起こらなくても
自分の中に流れている音楽に沿って生きていけば
とてもエキサイティングなんだろうな
と思わせるような映画
とても音楽的
ソングライン
ブルース・チャトウィン著「ソングライン」
(この本名著らしいのだが、あんまりおもしろくなかった)
アボリジニの人々はオーストラリア大陸に網の目のように張り巡らされた
ソングライン(歌の道)に沿って旅をする
映画監督デビットリンチは
ある場所に座っていると
そこから物語が湧いて出てくる
どんな場所にも
音楽と物語が隠されているんだね
いま
自分の足下には何が?
(うーん、何も思いつかない(笑))

4月22日

「ハリエット・タフマン」というバンドがあって
最近のお気に入り
ハリエット・タフマンとは
有名な奴隷解放組織アンダーグラウンド・レイルロードの
指導者の名前
黒人が自由を獲得した要素の中のひとつには
音楽がある
音楽が武器だった
音楽が自由の象徴
そういうバンド
あらゆる壁を緩やかに取っ払う
そんな音です
ジャンルはアバンギャルドロック+ジャズ+フュージョン

4月23日


公園で鳩おやじを見かける
おやじのまわりを無数の鳩が
まるで風が目に見えたら
きっとこんな感じ、というふうに群がっている
もちろんエサ目当てなんだけれど
風使いのような
おやじであった(笑)

ものすごく固いパンを
がりがりかじりながら
絵を描く
固いパンが大好き
給食のときも
パンの耳が好きだった

4月24日

ジャパネットたかたから
昨日エアコンが宅急便で届いて
今日は取り付けスタッフがやってきた
普通は一緒に来るところなのだが
これがジャパネット方式なのね
発送元が長崎
ここにたかたさんの倉庫があるのかあ(笑)

4月25日

親戚の女の子の誘いで
元キングクリムゾンのドラマー、ビル・ブラッフォードのリーダーバンド
アースワークスのライブへ
ドラム、ベース、ピアノ、サックスの4人編成
ビルの間近で
しかも
ほぼ同じ高さで観られたので
彼の水の流れのような手さばきを堪能
おしりの仙骨を基点にして体のバランスをとり
手と足が縦横無尽に動く
久々にしびれた
ドラムのセッテイングにもしびれたね
普通ドラムセットの左側(ドラマー側から)にあるハイハットが中央に
そのやや後ろにスネア
両側にタムが二個づつ(普通タムは右側に固める)
さらに普通高い位置にあるシンバル群が
スネアの高さから10センチくらいの低い位置に
サブマリンスタイルと言ってしまおう(笑)
楽譜を見るとき
老眼鏡をかけるビルもかっこいい
すぐ近くにいたので
たまに目が合うと思わず赤面してしまう俺(笑)
ジャズは
ロックと違って
みんな一緒に乗っていこうぜ!という音楽ではなく
ミュ-ジシャンが勝手に演奏を楽しんでいるのを
傍らで覗いている感じ
その距離感がいい
イギリスのジャズだね
日本と同じ島国のジャズ
恥ずかしがり屋のジャズ
帰りは雨
自転車だったので散々でした

4月28日

小泉内閣も1年たったのかな
結局何も変わらず。
何事もそうだけれど
新しいことをした方がリスクは少ないような気がする
失敗をおそれて
変化をおそれて
何もしない方がリスクは大きい
困難に直面するのは
進歩の印なんだから
ラッキー!と思わないと

4月30日

ある作家のインタビューで
自分という井戸を掘り進んでいくと
イメージの源泉のようなものにぶち当たって
ようやく作品が書けるようになると
書いてありました
井戸の底には
ユングが言うところの
集合的無意識のようなものが
水のように流れていて
そこからイメージをくみ上げていくのでしょうね
ただ
掘り下げが浅いというか
早とちりをするというか
源泉に届く前に
水道管にぶち当たって
それを源泉と勘違いしちゃうということが多々あります(笑)
カルキくさいイメージだったりしてね
カルキくさい作品てやだよね
井戸を掘り進むには
もっと体力を付けないと

エレイン・N・アーロン著
「ささいなことにもすぐに動揺してしまうあなたへ」
という本を読みました
全人口の20パーセントくらいの人が
HSP(HIGHLY SENSITIVE PERSON 非常に敏感な人)
なのだそうです
神経質だったり
臆病だったり
引っ込み思案だったり
弱虫だというレッテルを貼られてしまっているあなた
必読です
僕も神経質で臆病者なので
(とてもそうは見えないという友人達のつっこみはあるかもしれんが
俺は子供の時、動物園で
ライオンとかの猛獣は怖くて見られなくて
鳥ばっかり見ていたらしいし
遊園地に行って乗り物に乗ると熱が出ちゃうくらい弱虫でしたね)
勇気づけられました
とゆうか
本に書いてあるアドバイス通りに
今まで何とかうまく立ち回ってきたみたいです


back