かものはし日記2001年12月号


12月1日

ここ数日は
絵本の原稿の直しをゆるゆるとやりながら
すこしづつ
緊張をほぐしていきました
やはり3ヶ月の連続仕事は
体を休めているつもりでもなかなか緊張が解けず
けっこう辛かった
ここ数日は
昼寝をするたびに緊張がほぐれていく(笑)
(夜はなぜかあまり眠れない)
今日はもうずいぶんほぐれてきたので
昼寝をせずにすんだ
だんだんからだが軽くなる感覚
体があるから世界とフィードバックできる
精神が変化できる
体がなければ
なにも触れようとしなければ
地縛霊のように
ひとつの感情にとらわれたままだ
しばらくは
体に感謝を込めて
体のメンテナンスをしないとね
(ビールを飲んだり、ライブに行ったり・・(笑))

12月2日

最終チェックも終わり
あとは明日渡すだけ
終わってしまうとあっけなく
とても寂しい
渡すのよそうかな(笑)

12月3日

午後
編集者さんとデザイナーさんがやってきて
(久々に家人以外の人と面と向かって話したな)
原稿をふんだくっていく
デザイナーには
あとは好きにするがいいさ!
と捨てぜりふを吐く(うそ)
二人の表情と言動を分析した結果
絵の出来は上々と判断
妻のためにご飯を炊いておいて
そのまま新宿のライブハウスへ
(久々に電車に乗ったな)
今日は
大友良英率いるジャズバンド、フラッター
エリック・ドルフィーの曲やオリジナルなど
全8曲
音的にはダークな感じだけれど
決してネガティブじゃない
闇の中で手探りで光をつかもうとしているような感じ
アップダウンするベースが気持ちがいい
いつもターンテーブルと改造ギターを弾いている大友さんが
セミアコの普通のギターを弾いているのでびっくり
実はホラー作家の菊池秀行の弟
サックス奏者の菊池成孔さんがずいぶん痩せていたのでびっくり
たまには生音を聞かないと
てゆうか
耳だけじゃなくて体で音の振動を感じるのが気持ちいい
びよーん、っていう感じ
11時半帰宅
玄関に妻がいる?
なんと鍵を持たずに出かけてしまったので
部屋に入れなかったらしい
(8時半から待っていたようだ)
なんだよ
ゆっくりライブにもいけねえじゃねえか
鍵くらいもって出かけろよ
この家はおれが家にいないと機能しないのかよ(笑)

12月4日

ライブは楽しいけれど
洋服にたばこの匂いがいっぱい付いてしまうのはちょっとね

新宿の深夜は
花屋さんの出店をよく見かける
よく売れるそうだ
聞くところによると
おじさん達がバーのママにプレゼントするのだとか
そんな話を聞いちゃうと
ちょっとがっかり
もっとロマンチックなイメージがあったのに

昨日のライブは結構混んでいて
狭い場所で
ずーっと縮こまっていたら
腰を悪くしてしまった
また接骨医に行かなくては

近所のパチンコ屋さんの前で
ちんどん屋さんが
SMAPの「夜空ノムコウ」をちんどんアレンジで演奏
見事なテナーサックス
その辺のサックスプレーヤーよりはずっとうまい
しばし聞き入る

話題のジンジャーの映像を観る
確かに5つのジャイロ・スタビライザーで
2輪なのに倒れないという技術はすごいけれど
こんな中途半端なものに乗らずに、歩けよ
ていう感じ
21世紀はちゃんと体を使って
自分の身体感覚を取り戻すのが大事だと思う
2本の足で大地を踏みしめちゃんと地球からエネルギーをもらう
駅前に自転車のように
無断駐車しているジンジャーの群を想像した

12月5日

午前中は
絵本のあとがきを書く
あとがきもこの絵本の一環です
宮沢賢治の詩、絵、あとがきの3つでひとつです
あとがきは
絵の設定みたいな感じかな
これで僕のやることはすべて終わりました
あとはおまかせ

ガイアシンフォニー第4番を観に行く
スピリチュアルなドキュメンタリー映画
今回は
ガイア仮説のジェームズ・ラブロック博士
サーフィンは禅であると説くサーファーのジェリー・ロペス
動物学者でチンパンジーの研究者のジェーン・グドール
下描きをしない版画家の名嘉睦稔(なか ぼくねん)
4人に共通することは
みんな身体ということを意識している
頭だけではなく
体も使っているということ
ラブロック博士はちゃんと手も使わないと
頭だけでは
観念だけではなにもアイデアがうかばないと
おっしゃってます
いい映画です。是非

夜はライブ
VINCENT’S TRANS LOGIC
敬愛するドラマー、芳垣安弘のリーダーバンド
ダブルドラム、ダブルバイオリン
ふたりのホーンセクション、ヴィブラホン、ギター、ベースという編成
バンドの名前から
人力テクノバンドかと思っていたら
アート・アンサンブル・オブ・シカゴなど
シカゴアンダーグラウンド系のジャズです
ダブルドラム、ダブルバイオリンというのは燃えました
混沌と構築美が交錯する音

ライブの前に
CDを数枚ゲット
坂田明の新譜 FISHERMAN'S COM
不思議な音のサックスだなと思ったら、シンセサックス
リズムセクションはビル・ラズウェルなど
ニューヨークアンダーグラウンド系ミュージシャンで固めています
民謡とジャズの融合
そして
いちばん愛しているドラマー、チャールズ・ヘイワードと
ビル・ラズウェル、フレッド・フリスのバンド
MASSACREのライブCD
さらに
大友良英の新譜 カソード など
ああ、ジャズがおもしろいと人生も楽しい
NO JAZZ NO LIFE

坂田明のCDを買ったら
無料ライブの整理券がついてました
行こうかな

12月6日

霊性を言葉で語るのは難しい
と思われがちだけれど
実は語れるのではないかと思ってます
だって
言葉というのは
あちら側の世界からやってきたものだと思うからです

20世紀は自然をコントロールしようとして
失敗しました
21世紀は自然とダンスをしようというふうに
変わってきました
地球の年齢は40億才くらいで
余命はあと10億年
人でいったら人生の5分の4を越えたあたりのおばあちゃん
多少の失敗は
おばあちゃんなら目をつぶってくれます
20世紀のおばあちゃんに対するひどい行為は
なかったことにしてくれるでしょう
あとは
おばあちゃんとどういうダンスを踊るか、ですね

弟に用事があって待ち合わせのため新宿へ
1時間経っても現れず
場所を間違えたのかもしれない
両方とも携帯を持っていないので
しょうがないから
街をぶらついていると
ばったり出会う
直感だね
おれたちゃ、携帯はいらないね(笑)

12月7日

電車の中で赤ちゃんが大声で泣いていました
おかあさんは
体を揺すって赤ちゃんをなだめます
そう
赤ちゃんにリズムを与えているのですね
お母さんの体を揺するリズムが
赤ちゃんを落ち着かせるわけです
おおきくなって
どんなリズムの音楽を好きになるのかは
お母さんの与えるリズムに左右されるのかもしれません
すると僕の母親は変拍子好き?

ここ数日は出歩くことが多くて
毎日外食
食事は大切です
生き物の食事は機械のような燃料ではなくて
食事そのものが体になります
コンビニ弁当ばかり食べていると
コンビニからだに
カップラーメンばかり食べていると
カップラーメンからだに
なってしまいます

Z-MUSIC55というサイトがあって
そこではニューヨークにあるアバンギャルド専門ライブハウス
ニッティング・ファクトリーのライブを
リアル・プレイヤーで観られるのです
最近はそこで観たバンドをアマゾンやHMVで検索して
CDを購入することに、はまってます
最近のヒットは
GROUPというバンドのRECORDというアルバム
検索するのに苦労しました
だって、GRUOPとかRECORDっていっぱいでてくるんだもん(笑)
懐かしく優しいフリー・ジャズ、いやフリー・ロック?
ピンクフロイドがフリージャズをやっているような感じかな
とても素敵です
あと今CDが来るのを待っているのは
STEVE TIBBETTSという人の
チベットの仏教徒尼僧の声明とセッションしているジャズ
女性の声明なのでとても優しくて素敵
ぜひ覗いてみて下さい

友人と長電話
現在、漫画家の彼は単行本の描き下ろし部分で奮闘中
邪魔をして申し訳ない
お詫びにロジャー・ウオーターズ(元ピンクフロイドのリーダー)のライブCDを送るね
ちなみに
ロジャーは来年の3月に来日するそうです
日本人が嫌いなのに、なぜ?(笑)

12月8日

2日前に買った大友良英の新譜 カソード
を今日聞きました
なかなかおもしろいアルバムです
このアルバムはバンドのメンバーにいくつかの制約を課しています
・メンバーが他の楽器に反応しないこと
(ジャズというのは基本的に他のメンバーの音に反応しながら
会話をするように演奏がなされます)
・フレーズやリズムを出さないこと
・起承転結等のストーリーを作らないこと
・同じ音程関係の音列を続けない
などなど
今までの音楽のイメージを打破しようという試みです
ある制約を自分に課して
何か新しい具体的なイメージを探していくという方法論は
度を超さなければとても有効だと思います
(だって究極の試みは「音を出さない。」というところに行き着いちゃうものね(笑))
ぼくもね
たとえばファンタジーイラストでいえば
むやみに女の子の背中に翼を付けない(笑)
むやみに花をかかない(笑)
ちゃらちゃら装飾品をぶら下げない(笑)
ドラゴンを描かない(笑)
とかね
全体的な絵のイメージでいえば
青を中心に色彩構成をしない
とか
そうやって自分を追い込んでいき
何か新しいイメージを無理矢理構築していくという試みは
ある時は大事です
でも
いくら通俗的でも
どうしても女の子の背中に翼を描きたかったら
描けばいいのです
だって好きなんだからしょうがない(笑)(それもあり)
もうひとつ
アバンギャルドな新しいタンゴを生み出したアストル・ピアソラは
決してタンゴという枠組みから出ないという制約の中から
新しいタンゴを生み出しました
制約というのは
逆説的に
新しい何か、もしくは自由への扉なのかもしれませんね

12月9日

もう6年近くも使っているマックに
G4アクセラレータをかませて
パワーアップ
パフォーマンス速度は3倍強
2年前のG3機ぐらいにはなったかな
(システムバスのクロックはアップできないので限界はあるけれど)
これでOSをアップグレードすれば
あと5年はいけるな
廃棄物の問題もあるし
簡単に買い換えず、長く使わなくては
ついでに
埃だらけの筐体の内部を分解して綺麗に掃除
いつもありがとうねえ
感謝しているよ、マック君
(アクセラレータにファンがついているので
ちょっとうるささが増したけれど)

午後
ハードディスクなども増設しようと思っているので
先輩のマック博士に
マクドナルドで相談

夕方
友人の展覧会のため渋谷へ
細長いビルだけれど
すべての階がいろいろなタイプの画廊になっている
今度ここでやろうかな
と、思ってしまうくらい魅力的
一階では女の子が尺八をバックに
詩の朗読をしておりました
いつも
その友人に誰かを紹介されるとき
顔に似合わない絵を描く人と紹介される(笑)

12月10日

久々に
俳句プラスドローイングの絵を描きました
明日あたり配信されると思います
よろしくね
久々に描いたので
ちょっと違った感じに描きたかったんだけれどね、ほんとは

12月11日

ようやくOSを9.1にアップグレードすることができて
これで2年くらい前のテクノロジーに追いついたかな
OSをアップグレードするためには
何度もマックを分解せねばならず
そのために分解組み立て速度がものすごく速くなった
ギネスに載るかも(笑)

12月12日

アップグレードの最中にいくつかファイルを消失
僕の判断ミスなのだけれど
なかなか選択が難しい
2001年のメールがすべてなくなった
(なぜか2000年のはちゃんとある
2001年と2000年のデータは同じファイルに入っているはずなのに)
メールが一番大事なデータなのに(泣)
メールの返事がこない人
連絡してね

妻がどこからかもらってきたCD
テルミン奏者のやの雪さん新譜がおすすめ
「eye moon」やの雪 and Aeon
優しくてそしてヴァンゲリスのようにドラマティック
サン・サーンスの白鳥のテルミン演奏がすばらしい
メールのデータを消失した痛みを癒してくれました
exective produserが
岡野玲子と手塚真

近所の中古CD屋さんはなかなかすばらしい
敬愛するサックス奏者ラウンジ・リザーズのジョン・ルーリーのCD
FISHING WITH JHON
をゲット
多分彼の友人たち(ジム・ジャームッシュとかデニス・ホッパーとか)と
釣りをやったりしているのを適当に映して繋げたゆるいドキュメンタリー映画(たぶん日本未公開)だと思うのだけれど
そのサントラ
サントラとはいえ彼のCD
決してBGMではなくきっちり音楽的なアルバムになっている
アフリカンリズムと切り裂くような都会的アルトサックス
メールのデータを消失した痛みを癒してくれました

12月13日

4年ぶりくらいに秋葉原へ
子供の頃から来ているけれど
意外と要所要所の風景が変わらないのがうれしい
ふるさとのよう
なじみのジャンク屋は、今でもある
火事になったらみんな焼け死んじゃうようなごちゃごちゃの雑居ビルに
たくさんのちっちゃいお店が楽しい
ジャンク屋にはいい出物がなかったので
新品でそろえることに
ATAカードと内蔵ハードディスクを買う
うちに帰って取り付けに悪戦苦闘の末
G4-333MHZ
40Gハードディスク
OS9.1の
強力な改造8500に変身
もうちょっと計画を練ってから
改造をすればメールのデータをなくすことなんかなかったはず
反省・・・
ちなみに僕の旧型マックは売ると1000円、買うと5000円(笑)
(買ったときは50万円くらいしたのに
売っても1000円なら死ぬまで使う)

久々の雨が乾燥した冬の空気にからんで
しっとりと皮膚に優しい

12月14日

パソコンに不具合があるのならば
それはどこかに原因があって
その箇所を探して直せばいい
原因を探る方法はいくつかあるものの
原因は一つしかない
(原因が複数の場合ももちろんあるけれど)
それはコンピューターが還元主義の象徴で
所詮部分部分の集合体だから
ある壊れた部分を探して直すしかない
その点
人間の体はどこか具合が悪くなったら
あらゆるアプローチの方法がある
ある人は背骨のゆがみが原因というし
ある人は体の冷えが原因という
気持ちの問題という人もいるかもしれない
病気に対するアクセス方法が沢山ある
ようするにここが悪いという部分は存在しないのだ
悪くなっている患部があるとすれば
それは原因ではなくて症状にすぎない
そして
その中のどれか一つにアクセスすれば
そのほかのたくさんの症状も一緒に癒えていく
何か一つにアクセスしてみる
そうすればすべてがうまくいく
きっと世界もそういう具合にできているはずだから

12月15日

友人がCD-Rをくれたので
お礼にジミヘンが沢山描かれているメビウスの画集をプレゼント
早速うちでCDを焼いてみたりする
これでiTunesがちゃんと動作すれば
好きな曲をmp3で圧縮してCD-Rで保存できるのだけれど
どうしてもiTunesが正常動作をしない
iTunesがちゃんと動かないと
OSを9.1にアップグレードした意味がないじゃん
やはり旧型マックを無理矢理G4にした弊害か
(アクセラレーターの機能拡張が元凶?)

12月16日

ネットで
アクセラレータ(メルコ社製)のトラブルをいろいろ検索していたら
POWERLOGIX社のアクセラレータの機能拡張が有効
という話が載っていたので
そのサイトに行って機能拡張ファイルをダウンロードして
うちの改造マックに放り込むと
不思議にとても安定動作。
他社製なのになぜ動くの?
2次キャッシュが1Mしか使えないのがちょっと残念だけれど
念願のiTunesも安定動作をするし
めでたしめでたし
コンピューターの環境って人それぞれ違うし
たいていの拡張ボードは他社製だし
うまく起動させるのは難しいね

12月17日

昔、知人が
人とコンピューターは
その外見上の活動からみればほとんど変わらない
(外からの情報を処理して記憶し行動する)
といっていたけれど
決定的な違いは
当たり前だが
機械は葛藤とともには生きられない
矛盾を抱えて活動できるのは人間(生命体)だけ
ということを
ここ数日のパソコンとの格闘で再認識しました
不安と共に生きていけるのは
人間の一番すてきなところだね

友人の薦めで
遅ればせながら
「アメリカン・ビューティ」を観る
エドワード・ホッパーの絵の喪失感を映画にしたような
まるで人生とは
誰かに殺される瞬間に観る夢のような
そんな映画
とてもいい映画でした
どこにも着地しないところがいい

12月18日

きょうはぼーっとしていると
ついついアメリカン・ビューティのことを考えてしまう
登場人物がお互い何も分かり合えなくても
世界は美しい何かでつながっている

毎週楽しみにしていた
さよなら、小津先生が終わってしまった
君塚さんの脚本は
緻密だし
「今」という瞬間の問題点を的確に物語に盛り込むのが上手
前作ラブ・コンプレックスなんて
個人的には
デヴィット・リンチのツイン・ピークスを越えたと思っていたりして

12月19日

iCABという
ドイツ製のインターネットブラウザを使ってみる
プログラムメモリが軽くて使いやすい

国債発行限度額でもめているみたいだけれど
未来から借金をするならば
子供にも選挙権を与えてはいかが
正当な権利
そして
子供たちはきっと判断を間違わない

12月20日

「るろうに剣心」のOVAの新作が出ていたので
つい借りて観てしまう
(だって好きなんだもん)
星霜編
とても美しくて上手な絵なのだが
ちょっと暗いし
薫さんの描き方がいまひとつ違うな
剣心の奥さんの巴さんがからむので
しかたがないのだけれど

毎年今頃のお楽しみ
柴田元幸翻訳のポールオースターの新刊
去年はエッセイ集だったのでちょっとがっかりだったのだが
今年はファンタジー小説
「ミスター・ヴァーディゴ」
空を飛ぶ少年の話らしい
メビウスの絵や
ドラゴンボールの登場人物
幻魔大戦
安部公房の遺作(未完)「飛ぶ少年」など
空を飛ぶ少年は
いろいろな作品に出てくる
男の子は地面から3センチくらい浮いている
ととある女性が言っていたが
そう
地に足がついている男などこの世にはいないのだ

12月21日

アメリカン・ビューティについて
人は寂しさをこらえているときがいちばん美しい
というか
寂しさとともにいるとき
寂しげなほほえみ
寂しげなジョーク
葛藤とともに生きるということは
不幸と思われることを笑い飛ばすこと
笑いを生み出す想像力を養うこと
お笑い芸人の寂しげな立ち姿の美しさ
あの映画はそういうことかも

12月22日

用事があって鎌倉の実家へ
いつ帰ってきても
変わらない故郷というのは
心の中の座標軸のよう
なんか安心
家のまわりの建物はすこし増えたけれど
古都保存法のおかげで
山並みは昔と一緒
目印になるような大きな木も昔のままにちゃんとある
僕の家はものすごい山奥なので
タヌキもいるし
リスもいるし
アライグマもいる
僕の秘密基地跡(笑)もまだある

12月23日

年賀状の絵を描いてみたりする

12月24日

潜水家ジャック・マイヨール自殺
およそ自殺とは縁がなさそうな人類最初の
水棲人類ホモ・ドルフィナス(彼の造語)
映画ガイア・シンフォニー第2番の出演者
映画グラン・ブルーのエンゾのように
海の青と同化するか
ラストシーンのジャックのように
イルカとともにどこかに行ってしまうか
そんなファンタジックな最後しか想像できない人だったけれど
自殺という
生々しい現実的な最後

12月25日

散歩をしているときは
ぼーっとしているらしく
誰かに声をかけられてもすぐ反応できない(笑)
たいていは不動産屋の親父にあいさつをされるのだが
今日は新聞屋さんのにーちゃん
おおきくてすごくいい人

ジャック・マイヨールの自殺については
どう考えていいのかわからない
人は
常に生死の境にいる危うい存在だ
心の中に占める孤独の割合が大きくなれば
生命力は小さくなっていく
彼は今年の初めあたりから元気がなく
孤独だと人に洩らしていたらしい
11月に来日するはずが体調不良で中止になっていたという話を
ネットで見つけました
イルカでは彼の友人になれなかったのであろうか
・・・
なんかまとまんないな

12月26日

人は
くるくる回るコマにたとえられる
回転速度が速ければ
生命力は安定している
回転が遅くなると
こまはゆらゆらと不安定になる
回転がなくなればコマは止まってしまう
絵を描く上でも
人を描くとき
たちポーズのときは特にコマを意識して描いている
体の中心にコマがあって
それが勢いよく回っていて
そのコマの中心の延長線上に大地がある
魂とはどんなものかと聞かれれば
コマのようなもの
止まって転がっているコマをどんなに調べてみても
回っている姿が想像できないように
死んだ人間をどんなに調べてみても
生きている、ということがどんなことかはわからない
自分でまわすか
誰かにまわしてもらうか
誰かのコマをまわしてあげるか
この3つの円運動のバランスのひとつでもかければ
コマは簡単に止まってしまう

12月27日

「大自然の大気中には、
全ての生命を生かしている見えないエネルギー、
プラナが満ちている。
このプラナをスムーズに体内に取り入れる事に依って、
最大限の生命力を発揮できる。」

「呼吸は、
大宇宙の母と、
その子宮の中で育まれている私達とを結ぶ、
へその緒の様なものだ。」

「イルカは高度な“知性”を持ちながら、
自然と完全に調和して生きている。
その生き方から学ぶことに依って私達も、
自然と調和する道を知ることができる。」

「鯨達との交感に言葉はいらない。
コミュニケーションではなく、
ハーモニーするのだ。」

「推進100メートルの青い静寂の中で聞こえる音がある。
それは、音というより、宇宙の大いなる生命の響き、ヨガのマントラ“オーム”に似ている。

ガイアシンフォニーのホームページに載っていたジャック・マイヨールの言葉です
勝手に載せてます(すいません)
すべては彼の体験から生まれた言葉でしょう
自殺をしてもこの言葉が色あせることはありません
グラン・ブルーが
彼の救いでもあり苦痛の元でもあった、というのは友人の言葉
確かにあの映画は
現実を少しばかりひろげたけれど
彼の想いを正しく伝えているとは思えなかった
スピリチュアリズムとは
現実をよりよく生きるためにあるのであって
現実を離脱してどこかに行ってしまうことではないのだから
イルカと一緒にどこかに行ってしまうラストは
彼を神格化させてしまったのかも
彼の言葉がすべての人に伝わるとは思えない
実際、友人の話だと
人によっては彼のことを頭の足りない人だと思っていたそうです
伝わらない人には
イルカと話?そんなことできるわけないじゃん!
て、いうくらいのいんちきさが欲しかった
イルカのように純粋で繊細な人だったのでしょう
生命力の弱った水族館の中のイルカは
自殺するものもいるそうです
自殺を選んだということが
私は特別な人間ではない、普通の人間だ
ということを証明したことになるのなら
そういうことなのかもしれない

整体、身体感覚に関する本を2万円ほど買う(笑)
リュックに入れて
帰ってきました
すごく重かった
明日は弥勒菩薩に会いに京都にちょっと行って来ようと思ってます
弥勒菩薩と身体感覚
次の絵本のテーマはこれにしようと思っているのだけれど
うまくつながるかどうか

ポール・オースター著 柴田元幸訳
ミスター・ヴァーディゴ
を読み終える
2400円もする本を一気に読むのはもったいないので
ほかの本と一緒にちまちま読んでいたのだが
やはり中盤にさしかかると一気に読む速度が増し
あっというまに終わってしまった
さすがのストーリーテラー
彼の著作に共通するテーマは絶望
さらに
絶望というのは
それほど悪いものではない、ということ
風邪のように
絶望が通り過ぎていく
そして
風邪のように
治るとすっきり

そうそう
そういえば昨日ビデオで
SFステレオ・フューチャーを観る
SFサムライ・フィクションを撮った監督
相変わらず脚本がゆるくてだるい
凝ったカメラワークも無意味
でも
監督の人柄の良さは伝わってくる
サムライ・フィクション同様
緒川たまきちゃんがものすごく美しく撮られている
緒川たまきを撮るために存在する監督(友人談)
と言われてしまってもいたしかたあるまい(笑)

12月30日

京都より帰還
行きは700系カモノハシ新幹線に大喜び
修学旅行以来の京都
年末の京都は大晦日をのぞけば観光客が少なくてとても静か
弥勒菩薩を観て
敬愛する江戸時代の画家、伊藤若冲のお墓参り
哲学の道を散歩し
三十三間堂で
千手観音を観るというか、観られてきました
(あんなにいっぱいの千手観音さんに見つめられると下向いちゃうよね)
京都は寒い
帰りは500系新幹線
戦闘機みたいだ、空爆しそうだ(笑)

帰宅後
タモリクラブの空耳アワー特集を観て寝る
ジョン・ゾーンの曲があってびっくり
(ネタ的にはつまらなかったけど)

12月31日

朝は年賀状書き(間に合わない)
昼頃から台所の大掃除
換気扇を掃除
2度と揚げ物は作らないと誓う
台所の床を掃除
天ぷら粉がたくさんこびりついている
2度と揚げ物は作らないと誓う
午後は
おせち料理をもらいに横浜で母親と待ち合わせ
母親の相変わらずの毒舌を
うまく切り返すのに頭がフル回転
2度とこいつの息子には生まれ変わらないと誓う
まあ、そういう前に
今度生まれ変わってくるときは
またあたしの息子として生まれかわってこないでね
と言われてしまったが(笑)






back