かものはし日記2001年4月号


4月9日

ハンニバルの影響で
またしばらく続くのかな
猟奇ブーム
過剰な知性はなぜか猟奇的
プロファイリングができるということは
悪というのは論理的であるということ
たとえば
誰かが仮に密かにいいことをしたとして
それをプロファイリングして
その誰かを捜し出すことができるだろうか
(そんな小説があったらおもしろい)
以前
妻に、イルカが自閉症児を癒す話をしたら
彼女は、どうしてイルカはそんなことをしてくれるの?
と聞いてきた
さあ、どうしてだろう

あなたは
新庄派か、イチロー派か
一日一日を楽しく過ごすか
過去のデータから未来をはじき出し、計算しながら
よりよい人生とやらを構築していくか
過去と未来にとらわれず
現在のみを精一杯生きているのは
新庄だよね
イチローがサムライならば
新庄はネイティブ・アメリカン

4月13日

ちょっとカピバラに会いに
長崎バイオパークに行って来ます
うふ

4月16日

季節はずれの帰省(妻の実家)より帰還
カピバラに会いには都合により行けなかったのだけれど
妻の実家には
犬が7匹
猫が7匹
彼らを撫でまくって
十分に動物欲が満たされました(笑)
あんなに猫をさわったのは久しぶり
一緒に寝たのも久しぶり
一緒に寝た猫がいつもは妻の父親と寝ていて
彼のいちばんのお気に入りだったらしく
ちょっとどきどきだったりして(笑)
その猫はリーベルちゃんという名前のキジトラで
実家では「看取り猫」と呼ばれております
なぜかというと
彼女はもうじき死を迎えそうな犬や猫のそばに
じっと付き添い続け
最後の瞬間を看取るのです
まるで死へ旅立とうとしている動物達のたましいを光の中に導くように
二日連続
彼女はぼくの枕元で寝ていたのですが
ぼくもそろそろお迎えが来るのでしょうか(笑)
(寝ている間に顔をひっかかれましたが)

4月17日

頭が石のように硬くなったような・・
何も仕事ができず
妻の実家の猫と犬のことばかりを想う
動物達って何て優しいんだろうとか

4月18日

リドリー・スコットの息子ジェイク・スコットの映画
プランケット&マクレーン
をビデオで観る
親父譲りの映像美だけれど
結構のりの軽い紳士強盗もの
なかなかの佳作
親父のデビュー作(デュエリスト)と時代設定が一緒なのはわざと?

友人よりわさびが届く
わさびの根っこは分かるのだが
葉っぱはどう使えばいいの?
お浸しにでもすればいいのかな

4月19日

わさびの葉っぱと花は天ぷらに
茎は色が変わる程度に煮込んで塩でもんで刻んでまぶして茎ご飯
タラの芽、ふきのとうや菜の花
春の食材はなぜかちょっと苦い

4月20日

さすがに花粉症がひどくて
耳鼻科へ
でも、ちっともよくならず
さらに悪化
鼻の穴に薬のついた長い棒をつっこまれるのが
何よりもいやだ(笑)

4月21日

実は花粉症は終わっていて
この鼻づまりはただの風邪でした
なんか
今年は今ひとつ体調が優れないのだよ

イラストレータの大宴会に参加
はじめて会う人がたくさん
はじめての人に会うというのは
とても好き
いっぱい会うとわかんなくなっちゃうけど(笑)

4月22日

バルトークをジャズ風にアレンジしたCDを買う
なかなかかっこいい
バルトークは現代音楽家だけれど
実はロックしている
だからジャズミュージシャンがアレンジすれば
自然とハードコアなフリージャズ風になる
俺の予想どおりさ(笑)
あと
ブライアン・イーノとデビィット・ボウイの曲を
現代音楽家のフィリップ・グラスが
現代音楽風にアレンジしているCDを中古屋で見つける
なんか変
ジャケットはもろデビットリンチのツインピークス
予想できませんでした

4月23日

新作絵本「まあるくなって・・」の色校のチェック
品よく綺麗に色が出ていて安心しました
美人編集者のTさんに次の絵本の企画書をすかさず渡す
長年やりたかった企画なので
通るととってもうれしい

近所に新たなそば屋を発見
そばはとてもおいしいのだけれど
田舎そばを細く切るのはちょっと・・
田舎そばは太くないとね
そして
店内のBGMはやはりジャズ
さらに店の親父は強面(こわもて)
うーむおしい
なかなか3拍子揃うそば屋がないな

4月26日

妻が
高橋留美子の「犬夜叉」にはまっていて
ぼくもついつい全部読んでしまったのだが
内容が
ふと今の政局に何となく重なってしまった
自民党は妖怪が集まってできた犬夜叉の宿敵たる「奈落」
そして小泉さんは
半分妖怪半分人間の「犬夜叉」と言ったところでしょうか
どうしたって人間では妖怪の集合体「奈落」にはかなわない
半分は妖怪にならなければ・・
その辺のバランス感覚に期待します

妻はニューヨークへ
ぼくはしばらく独身気分
わーい、これで存分に部屋が汚せる

人造人間キカイダーのアニメーション版を
最後まで見終える
なかなかの秀作で堪能しました
原作よりちゃんとまとまっていて出来がいいような気がします
辛くても苦しくても悲しくても
魂(良心回路)を抱え込んで生きていく機械

簡単に魂を売り渡してしまう人間
孤独に強いのは機械の魂?(笑)

4月27日

雑居ビルの3階で
カレーライスを食べる
結構穴場なカレーライス屋
本に載るほどおいしくないところがみそ
(でもまずくもないんだよ)

最近は
新聞の政治欄を読むのが楽しい
小泉さんが首相になって
政治がちょっと動いてきたものね
上に立つ人はとても孤独
小泉さんが孤独をどこまで突き詰められるか
じっと見守っていたい
孤独というものを受け入れるのは大変だけれど
受け入れられれば
意外と寂しくなかったりする
孤独が生み出す他者とのうねり
それが生きる実感
ジャズというものさ(笑)

4月28日

妻がいないので
部屋の中のカオス化が進む
現在カオス率40パーセントくらいかな
60パーセントを超えるとちょっとやばいか
「整理からは何も生まれない」
整理して見えてくるものなんて
所詮は未来の予測がちょっとできるくらいなもの
混沌の中からは
愛とタイミングさえ合えば
どんな真理も取り出せる
(ちょっと大げさ)

4月30日

友人の話によると
昨日から開催されている後藤の展覧会
HPに貼った地図は縮尺がむちゃくちゃで
必ず迷うようなのでご注意を
(後藤も迷ったらしい(笑)
僕は最終日に行きます

表紙に新刊案内を載せました
「まあるくなって・・」(朝日ソノラマ 1260円)
5月中旬発売です
ネタ的にはこれがいちばん気に入ってます
マンダラの本です
猫マンダラ(笑)
いつか大きいマンダラを描きたいと密かに思っているのですが
これはウオーミングアップかな
不眠症の方にどうぞ
(いやほんと)

渋谷へ
メビウスの新刊を見つけました
2001APRES JESUS CHRIST
最近のメビウスは水のような優しい線をかきます
絵本です
ああこんな素敵な絵本が描けたらいいな

さらにCD
ラウンジ・リザーズのとんがり系ギタリストのマーク・リボー

ビル・ウエアというビブラフォン奏者が
デューク・エリントンのカバーをやった「SIR DUKE」
デューク・エリントンの曲はとてもかわいい

少し掃除をする
カオス度20パーセントに低下
そろそろ妻が帰ってくる


back